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33章 苦渋の決断

「ピチュー……。本当にごめん」
「……」
「あたし、こういうの上手く伝えるのできなくて……。この世界にくる必要がなくても、本当はこの世界に来たいんだよ?」

ピチューは目を逸らす。ピチューもミズカを困らせたいとは思っていない。心と身体がバラバラに動く。

「あたしはこの世界に呼ばれた理由を少し前に知った。それまではまったく知らなかった。じゃあ、なんで来ていたかと言うとピチュー達がいたから」

ピチューの耳がピクリと動いた。

「あたしにとって、ここに来ていた理由はピチュー達に会いたいから。ピチューと離れているときだって、どこかで会えたらなぁって思って旅してた」
「ピ……」
「あたしね。サトシ達がいないから言うけど、引き止められたら残ろうかなって思ってたよ。みんなに話すとき」

ミズカの言葉にピチューはハッと彼女を見た。ミズカの顔は何かを堪えた顔。しかし、笑おうとして苦笑になっていた。

「でも引き止めてくれないのは、きっとあたしのためなんだよ。あたしが家族や向こうの友達を捨てないようにって」
「ピチュ……」

ピカチュウに言われたことを、ミズカも言っている。ミズカもよくわかっているのだ。この苦渋の決断は、仲間たちが首を横に振れば、簡単に覆ることを。

そして、それは自分がイコール家族を捨てることになることをわかっている。ミズカとサトシは兄妹だが、家族は違うところにある。ピチューも理解はしていた。

「本当はみんなの記憶がなくなること、すごく怖い。それから、みんなからあたしの記憶がなくなることもすごく怖いし、嫌だよ。だってあたし、みんなのこと大好きだもん」

ピチューの表情は少しずつ崩れていく。そして、瞳が潤んだと思ったら、ミズカに抱きつき、声を上げて泣き始めた。

ポケモンダンス団に入ったとき、絶対に再会できると信じていた。だから、ダンス団に入りたいと言えた。今は一緒にいるのに離れなければならない。そんな辛いことはない。

ピチューが泣き止むまで、ミズカやポケモン達はその場でずっと見守っていた。


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