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33章 苦渋の決断

「ピィカ……。……ピッ!?」

ピカチュウとエーフィは、オーキド邸に住むポケモン達にピチューを見掛けなかったか聞き回り、ようやくピチューを見つけた。

「フィ」

エーフィが話しかける。ピチューは涙を溜めたまま、こちらを見た。ピカチュウが駆け寄って、宥めるように肩を優しくて叩いた。

「フィー、フィ」

エーフィはミズカの本当の気持ちをピチューに説明する。そして、そもそもミズカは別の世界の人間で、本来は交わるはずのない……、出会うはずのない人物だったことも話した。

「ピッ……。ピチュ、ピチュピチュ……」

ピチューは俯きながら、自分の気持ちを二匹に話した。そんなことを言われたって、出会ったのだから、住む世界の話など関係ない。なぜ、一方的にミズカが呼ばれたにも関わらず、この先、旅を続けるのを選べないのかピチューにはわからない。ミズカがこちらの世界で旅をすると言ってくれなかったこともショックだった。

あんなにポケモンが好きだと言っていたじゃないか。人間たちは何故ミズカを止めてくれないのか。彼らがすんなり頷くのも納得がいかない。

ピチューの話を聞いて、ピカチュウはピチューの両肩を掴んだ。

「ピカピ、ピカピカ? ピーカ、ピカピカ、ピィカ?」

真剣に質問する。サトシが本当に納得していると思っているのか、と。エーフィが辛くないと思っているのか、と。

ハッとして、ピチューはエーフィを見つめた。エーフィは頷くと自分は最初から別れがあることを知っていたとピチューに話す。

確かに、自分たちを選んでくれないことはショックだ。辛くないわけがない。本当はずっと一緒にいたい。ミズカに会うのに2年も掛かって、やっとミズカのパートナーになった。ミズカが向こうの世界ではなく、こちらの世界にいると言ってくれたらとずっと思っていた。

だが、ミズカの笑顔を守ることが第一で、それ以外を望むつもりはない。それがこれまでの旅の大目的だった。

その旅で自分はミズカをもっと大好きになった。人やポケモンに気遣えて、相手が大変なときには助けたり、守ったりして。そして何より、自分たちがやりたいようにやらせてくれた。だから、自分はミズカの選んだことを尊重したい。今回の選択に間違いは存在しない。ミズカには選択する権利がある。

エーフィの言葉にピチューは耳を下げた。

「ピカピカ」

ピカチュウも口を開く。僕も辛い。もしピチューの立場で、サトシと別れることになったらショックだし、怒るのも当然だと思う。

サトシだって本当は止めたがっていた。ミズカに別れなければならないことを伝えられたあと、しばらくは動けなかった。シゲルに「引き止めるのはなしだよな?」と聞いていたくらいだった。

もしかしたら、ミズカは引き止めて欲しい気持ちもあるかもしれない。でも、引き止めたら、ミズカはこちらに残ると言う可能性がある。

それは向こうの家族や友達を捨ててまでやっていいことなのか。それは、サトシとミズカの父親と同じことをしろと言っているのではないか。

だから、みんな引き止められないのだと。

「ピチュー?」

ピチューの後ろから声がした。見つけたチルタリスとサーナイトがミズカ達を呼び、サーナイトのテレポートで飛んできた。

チコリータ達も近くにいたらしく、ちょうど合流する。ミズカはピチューの前に来るとしゃがんだ。
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