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33章 苦渋の決断

赤い目で帰ってきたミズカにカスミ達は首を傾げた。ポケモン達も連れている。いよいよ昼食というところ。カスミはミズカを呼びに行くところだった。

サトシやシゲルもまだ来ていない。何かあったのかと首を傾げた。

「あんた、目赤いわよ?」

カスミが聞くと、ミズカは顔を歪めた。

「……みんなに聞いてほしいことがあって」

声の低いミズカは、少し躊躇っているようでもあった。カスミ達やポケモン達はミズカを見つめる。

「あたし、明日帰る」
「それでなんで暗い顔なの?」

マサトに言われてハッとする。別れという言葉を使わなかったがために、勘違いされた。

「あ、その……。あたし、お父さんの件でこの世界に呼ばれたでしょう? 本当は手鏡で往復すると時空間が歪んじゃうらしくて……。解決して、この世界に来る理由がなくなるから、どちらかの世界に住むって話に……」
「え~!?」

カスミ、ハルカ、ヒカリ、タケシ、そしてマサトは驚いた表情を浮かべた。話で察する。どちらかの世界に住む。だったらそれは、向こうの世界だろうと。

ミズカがこんな暗い顔で話しているのはそういうことなのだ。赤い目を見る。泣いたあとだと言うことがわかる。

「じゃあ、この世界には……もう?」
「……うん」

カスミの質問に、ミズカは躊躇いながら頷く。そして、みんなの記憶がなくなってしまうことも話した。

「サトシやシゲルには……?」
「もう言ってある」

ヒカリが二人がいないことを気にする。ミズカは答えた。

「寂しくなるかも……」
「そうだね……」

ハルカが少し涙を浮かべる。隣でマサトは俯いた。

「だが、もう心配がないってことだな」
「そうよ。良かったじゃない」

そうは言ったものの、タケシもカスミもトーンが低い。タケシはずっと旅をしていた。心配がないのは、父親のことだけなのをわかっている。友人として、向こうでのことが心配だった。

カスミは泣きそうになるのを堪えていた。何故、相談せずに勝手に決めてしまうんだと内心怒りたくもなった。しかし、住むところを決めるのはミズカだ。ここに残ってくれはカスミも我儘なのをよくわかっている。向こうの世界でミズカの生活があるのもわかっていた。

学校の帰り際、リンに話しかけたことを思い出す。

『リン。ミズカのこと、よろしくお願いね!』
『もちろん、任せて!』

にこりと微笑んだリン。ミズカの辛い状況を救ったのは、自分たちだけでないこともわかっている。ミズカが学校へ通えるようになったのは、学校にリン達の存在があったからだとカスミはわかっていた。

だから、良かったとしか言えない。行くなというのは、ミズカの両親や友達からミズカを奪うことになるから。

けれど、態度には出る。良かったと言ったカスミはミズカと目が合った。ミズカは平静を装うように小さく口角を上げた。

「うん。ちょっと寂しいけど、あたしもこれが良い決断だと思ってる! 急でごめんね……! 」

無理矢理明るくして見せた。彼女の後ろではあまりピンと来ていないポケモン達がいる。エーフィはミズカの足に擦り寄る。すべてを知っていたエーフィは、無論、別れがあることをずっとわかっていた。ミズカはエーフィの頭を撫でると、ポケモン達には、もう少し丁寧に話した。

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