33章 苦渋の決断
自分で決めたことのくせに、寂しくて辛い。この気持ちを何処へやれば良いのだろう。明日は早すぎる。だったら、いつかと聞かれたらミズカはずっと居残ってしまうだろう。
大きな一本の木の前に来た。記憶が戻ってからくるオーキド邸は懐かしい。ここは、3歳の頃、サトシとシゲルと写真を撮った場所だ。
ミズカはため息をついた。
みんなに、どう説明をすれば良いのだろうか。もし説明して、引き止めてきたら、自分は果たして帰ると言えるだろうか。引き止められたら、そう思うと自分の決断が簡単に揺らぎそうだ。だから、話すのが少し怖い。
「さっき、博士と何を話してたんだ?」
急にサトシの顔が目に入った。驚いてバランスを崩し尻餅をつきそうになった所を、シゲルが支えてくれた。顔を覗かせたサトシは苦笑している。まったく人の気配に気づいていなかった。
「ごめん……。ありがとう」
「どうしたんだい?」
シゲルに聞かれ、眉間にしわを寄せた。ミズカは「うん…」と元気なく返事する。サトシも首を傾げた。
「どうしたんだよ。最近、おかしいぜ?」
「うん……、そうだね」
サトシに聞かれる。彼らが一番、この件に関わっていた。まずは二人に話そうと、ギュッと拳を握る。どんな反応をするのだろうか。少し怖い。
「……ごめん。急な話なんだけど……。驚かないでね?」
震えた声で言ったミズカに何があったのかわからず、サトシとシゲルは顔を見合わせた。 すべて解決はした。だから、そんな辛い顔をしなくても良いはずだ。
躊躇うミズカは深呼吸をした。二人は黙ってミズカの言葉を待つ。それをわかって、ミズカもついに口を開いた。
「……あたしね、明日でお別れなんだ」
二人に背を向けた。まともに二人の顔を見られなかった。サトシは呆然としていたが、シゲルは違った。ミズカの肩を擦りながら、その場に座らせた。サトシも息を飲みながら、シゲルと一緒に座る。
「ゆっくりでいい。話せるかい?」
シゲルがこんなにも冷静なのは、そうなると思っていたからだった。明日は急だと思ったが、解決した今、ミズカはこの世界に来る理由がない。
時空間のことはシゲルも少しは知っている。手鏡で時空間を移動できても、歪みは発生する。手鏡は万能装置でないことはわかっていた。
だから、本当は引き止めようと思っていた。向こうの世界での状況が大変だとサトシから聞いて、だったら、ここに残らないかと、提案するつもりだった。
しかし、彼女の住む世界は思っていたものと違った。
大きな一本の木の前に来た。記憶が戻ってからくるオーキド邸は懐かしい。ここは、3歳の頃、サトシとシゲルと写真を撮った場所だ。
ミズカはため息をついた。
みんなに、どう説明をすれば良いのだろうか。もし説明して、引き止めてきたら、自分は果たして帰ると言えるだろうか。引き止められたら、そう思うと自分の決断が簡単に揺らぎそうだ。だから、話すのが少し怖い。
「さっき、博士と何を話してたんだ?」
急にサトシの顔が目に入った。驚いてバランスを崩し尻餅をつきそうになった所を、シゲルが支えてくれた。顔を覗かせたサトシは苦笑している。まったく人の気配に気づいていなかった。
「ごめん……。ありがとう」
「どうしたんだい?」
シゲルに聞かれ、眉間にしわを寄せた。ミズカは「うん…」と元気なく返事する。サトシも首を傾げた。
「どうしたんだよ。最近、おかしいぜ?」
「うん……、そうだね」
サトシに聞かれる。彼らが一番、この件に関わっていた。まずは二人に話そうと、ギュッと拳を握る。どんな反応をするのだろうか。少し怖い。
「……ごめん。急な話なんだけど……。驚かないでね?」
震えた声で言ったミズカに何があったのかわからず、サトシとシゲルは顔を見合わせた。 すべて解決はした。だから、そんな辛い顔をしなくても良いはずだ。
躊躇うミズカは深呼吸をした。二人は黙ってミズカの言葉を待つ。それをわかって、ミズカもついに口を開いた。
「……あたしね、明日でお別れなんだ」
二人に背を向けた。まともに二人の顔を見られなかった。サトシは呆然としていたが、シゲルは違った。ミズカの肩を擦りながら、その場に座らせた。サトシも息を飲みながら、シゲルと一緒に座る。
「ゆっくりでいい。話せるかい?」
シゲルがこんなにも冷静なのは、そうなると思っていたからだった。明日は急だと思ったが、解決した今、ミズカはこの世界に来る理由がない。
時空間のことはシゲルも少しは知っている。手鏡で時空間を移動できても、歪みは発生する。手鏡は万能装置でないことはわかっていた。
だから、本当は引き止めようと思っていた。向こうの世界での状況が大変だとサトシから聞いて、だったら、ここに残らないかと、提案するつもりだった。
しかし、彼女の住む世界は思っていたものと違った。
