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33章 苦渋の決断

この世界の仲間と同じくらい、大切な人達が住んでいる世界がある。確かに向こうの世界では大変なことが沢山あった。だが、今は前を向いて進んでいる。家族だって、母親も義父もタカナオだって大切な人だ。

であれば、生まれた世界を選ぶのが一番良いと思った。

最も彼女にとっての本当の一番は、今まで通り、ポケモン世界ともとの世界を往復するということなのだが。

「前にも電話で話した通り、これ以上、お前さんが往復を続けていると時空間に歪みが出てしまうんじゃ」
「実際にもう歪んでますよね?」
「そうじゃな……」

問題は時空間だった。ポケモン世界ともとの世界の間には、時空間がある。時空間があるから、2つの世界は均衡が保たれている。それを崩すと当然大惨事になる。

現に、往復してる今、時間がバラバラになっている。ミズカがいる世界に合わせた時間になってしまっているのだ。この時点でバランスは崩れているのだ。

「今なら、まだ間に合うんですね。歪みを直すのは」

ミズカが聞くと、オーキドは頷いた。

「均衡が保たれるには条件があってな。ポケモン世界ともとの世界……、二つの空間があることを知られてはならんのじゃよ」

ミズカは首を傾げた。言っている事がよくわからない。

「もし、この世界に二度と来ないと言っても、サトシ達の記憶もお前さんの記憶も残っているとしよう。サトシ達もお前さんも会いたいと思うじゃろう。そうすると、空間が歪むんじゃ。そして、二つの世界を繋ぐ道が出来てしまう可能性がある。二つの世界の存在を知らないのが一番ベストなんじゃよ」
「それって、あたしがもとの世界に帰ったと同時に、皆も……、あたしも記憶を失うってことですか?」

恐る恐る聞くと、オーキドは頷いた。ミズカの顔は段々と引きつっていく。息が詰まりそうだ。

「でも……、どうやって記憶を?」
「簡単じゃ。手鏡を割れば良いんじゃ」

ポケットに入っている手鏡を出した。長い間持っていたせいか、愛着があったりする。

「いつ……」
「早い方がいいじゃろう。明日には、準備が出来るんじゃが。明日でお願いできんか」
「……わかりました。それでは明日で。失礼します」

ミズカは、愛想笑いも忘れて、そそくさと部屋を出て行った。

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