「別の世界？？」

三人は声をそろえて聞く。彼らは別に馬鹿にする様子はなかった。ミズカはコクリと頷く。

「うん……、でも、この世界のことはアニメでやってて……。しかも、そのアニメは……、あなた達三人の旅の事がやってて……、それで、ビックリしちゃって……」

ミズカは自分で何を言ってるのかわからなくなった。こんな説明が伝わるのだろうか。それ以前に信じてもらえるのだろうか。

話す度にミズカは自信をなくしていく。

三人は顔を見合わせた。しばしの沈黙。タケシが考えるように腕を組んだ。カスミは対照的にぱあっと顔を明るくさせる。

「へぇ、別の世界なんかあったのか……」
「別の世界……！？　なんか行ってみたーい！」

とりあえず、タケシは理解し、信じてくれたようだ。
サトシはまったく意味がわからないといった表情である。仕方なく、ミズカは細かく説明し始めた。

「あたしは寝室で寝ようとしてたの」
「それで？」
「布団の中に入ったら、自分の足元が不思議な感じがして……、布団を持ち上げてみたら光があったんだ。それを何か暴こうと思ったら……」
「どうしたんだ？」
「空の上にいたの。この世界のね……。それで落ちて気絶してたってわけ」
「なるほどな」
「わかった？」
「ようするに……、別の世界にいたら、その光のせいでこの世界に来ちゃったわけだよな？」
「そういうこと！！」

サトシも理解してくれたようでミズカは安心した。

「そうなると、えっと……」
「あたしは、ミズカ！」

タケシは呼び方がわからなかったらしい。名乗っていないことに今更気づき、ミズカは自分の名を伝えた。

「ミズカは、もとの世界の帰り方を知らないのか？」

タケシが聞く。
そういえば、彼らがいることに驚いて考えていなかったが、帰り方がわからない。

帰ることができるのかも不明だった。

「うん……」

ミズカは、急にホームシックになり、俯きながら答えた。
このまま、彼らと別れたら、自分は途方に暮れる。この世界で一人で生きる自信は全くなかった。

「だったら、帰る方法がわかるまで一緒に旅しましょうよ！！」

カスミが言った。目は輝いている。どうやら本気らしい。

「それいいかもな！」
「その方がミズカも安心だろう」

とサトシとタケシも賛成した。
ミズカは目を見開く。

「本当！？　そうしてもらうと助かる！」

こうしてミズカは帰る方法がわかるまで、サトシ達と一緒に旅をすることになった。