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33章 苦渋の決断

「奇跡じゃよ。お前さん達が出会ったのは。なんせこの世界とあちらの世界を繋ぐ道は手鏡ではないと、何処に出るのかわからなかったのでな」
「……それであたしは、最初に来たとき何故か空の上にいたわけですね」

大人の事情に、こんな過程があるとは知らなかった。そして、サトシ達に出会えたことはかなりの奇跡だった。そう思うと嬉しかった。

「ところで、博士。お父さんは、あたしを殺そうとした理由があると言っていました。何か知りませんか?」
「すまん。そればかりは、わしもわからないんじゃ。わしが知っておるのは、今話したので全てじゃよ」

ミズカはため息をついた。

たしかに、知っているならきっと教えてくれるだろう。そういえば、今、スイクン伝説について調べていたと言っていた。

オーキドは知らないが、自分は北風使いの生まれ変わりだと、スイクンからはっきり言われている。もしノリタカが北風使いについて調べていたことが関係しているとしたら……、自分が北風使いの生まれ変わりなのは偶然ではないのかもしれない。

『時期が来ればすべてがわかる』

不意にスイクンの言葉を思い出した。すべてとは、どこまでのことを指していたのか。サトシと異母兄妹であること? 父親に殺されそうになっていること? それとも……。

しかしこればかりはノリタカ本人かスイクンに聞かないとわからない。ということは、わからないまま、この世界を離れると言うことになる。

「お前さん、あの話は皆にしたのかのう?」

オーキドに聞かれ、ミズカは首を横に振った。

「ごめん。これから博士と大事な話をするから、席を外してもらえる? 後で話すから」

サトシにお願いする。彼は、首を傾げながらも後で話してくれるならと頷き、客室を出ていった。

「まだ、言っておらんのじゃな」

サトシが出て行ったのを確認すると、オーキドはミズカに言った。

「はい。今日、話すつもりです。皆とは、もう少し笑って過ごしたかったので……」

少しトーンを落として言った。いくら自分で決めたとはいえ、やはり寂しいものは寂しい。もうポケモン世界へ来れないという話なんてしたくはない。

「お前さんはどうしたい? このまま、この世界に止まることも可能じゃが」
「いいえ……。住むべき世界がここでない以上、あたしはここから離れるべきだと思っています。あたしの生活は向こうにもあるので……」

ミズカにとって苦渋の決断だった。皆とずっと過ごせるなら、過ごしたい。しかし、それでは、家族や友達に心配をかけてしまう。
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