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33章 苦渋の決断

「さっきまで、重いから降ろしてとか言ってたのに……」
「ありえないかも」

ヒカリとハルカも呆れた表情を浮かべ、ため息をついた。

「うるさいな~、良いでしょ別に。お腹空いてたんだから。それに……」

ミズカは、何か言おうとしたがやめた。皆と食べる食事が残り少ないとは言えない。

「どうしたの?」
「ジョーイさん、デザートはアイスクリームで!」

顔を覗かせるカスミとあまり目を合わせたくないのか、ミズカはいきなり立ち上がってジョーイにデザートを頼んだ。カスミ達は呆れた表情でミズカを見た。

ミズカは心の中で思う。もう少しだけと。

「あんたねぇ。加減って言うものを知りなさいよ」
「はいはい」

カスミに言われ、ミズカは苦笑しながら席に座った。こうやって、バカみたいに笑い合って、軽口を叩き合えることはあるのかどうか。

ミズカは寂しさを堪えると、それを隠すように再びご飯を食べ始める。

――もう少しだけ……。もう少しだけ……。みんなと笑って過ごしたい。もしあたしが言ったら、笑ってくれないでしょ?

仲間に早く言わなければならないのはわかっている。しかし、折角のこの明るい雰囲気を壊したくない。ミズカは複雑な気持ちでいた。

「食べたら眠くなって来た……」

病室に入り、ベッドに乗って倒れた。ここには荷物を取りに来た。もう病室にいる必要がないからだ。身体が重い。食事をしたからとはいえ、体力がすぐに戻るわけがなかった。そもそもミズカは、しばらく病室にいた。リハビリもままならない状態で身体を動かしている。重たくて当然だった。

とはいえ、やることがある。これからオーキド博士に連絡しなければならない。折角、ベッドと友達になったが、無理矢理に身体を起こした。

「大丈夫かい?」

シゲルに聞かれ、ミズカは「なんとか」と返事した。

食事後、何故かシゲルと二人きりにさせられた。カスミとハルカのせいだ。ヒカリやタケシ、マサトも面白がってそこに乗ってきた。

何もわからないサトシを呼ぼうとしたが、こんな時に限って空気を読まれてしまった。正しくは、カスミとハルカに睨まれ、サトシは遠慮したのだが。

ミズカはベッドに座るとシゲルを見つめた。

「……ありがとね。ポケモンセンターの前まで運んでくれて。そう言えば、カスミ達にからかわれて、お礼言うの忘れてた」
「いいさ。気にしていないよ」

ニコッと笑うシゲルに、ミズカは一瞬ドキッとした。顔が赤くなる。今更、急に好きな人と二人きりだと言うことを自覚する。

慌ててミズカはベッドから降りた。そして、荷物をまとめる。

「い、行こっか。早く電話しないとオーキド博士に心配かけちゃう」

シゲルは動揺するミズカを見て、フッと寂しげ笑った。ミズカは先に出ていく。シゲルもミズカの後へ続いた。
 
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