32章 最後の戦い
「ごめんな……。本当にごめんな……」
どうして、自分の子どもたちは、自分と違ってまっすぐなのだろうか。ダークライから目を覚ましたミズカは、とても勇敢だった。その時点で、ミズカを殺す気など潰えていた。
「お父さん……」
まだ父だと慕ってくれるミズカにノリタカは泣きそうになった。ミズカも安心してか涙が出てくる。急に緊張が解け、気が抜けた。
「ミズカ……」
「ピカピカ」
ホッとした表情のサトシに、ピカチュウは肩に乗ってニコッと笑う。
「行って来なさいよ。お父さんとたくさん話したいんでしょ」
サトシの肩をポンと、カスミが叩いた。彼は頷くとシゲルの腕を掴んだ。
「なんだい?」
「シゲルも行こうぜ。父さんに謝ってもらうからさ」
サトシの言葉に断ろうと口を開いたが、彼は断っても引っ張って行くだろう。そう思い、ついて行く事にした。後ろからエーフィも歩いてくる。
「……と、父さん」
サトシは、少し躊躇いを感じながらも父親を呼んだ。優しい表情の父を見るのは初めてで緊張する。
「サトシとシゲルか……。ミズカを頼む」
「え?」
何を頼まれたのか一瞬わからなかった。ミズカをよく見ると、ノリタカに抱きついたまま、かなり気持ち良さそうに寝ている。
「ね、寝てる……」
「多分、悪夢のせいだ。あの悪夢から抜けるとは聞いた事がないがな」
ノリタカは、ため息をついた。サトシ達は苦笑する。
「ミズカを殺そうとした理由とはなんですか?」
シゲルは、まだ彼らの父親を信用する事は出来なかった。二年前の出来事から引きずっている。ノリタカはシゲルを見つめると、ミズカを任せた。
「ミズカを好きになってくれてありがとな」
まさかそんなことを言われると思わなかったシゲルは思わず顔を赤らめる。それを隠すようにミズカを背負った。エーフィは下からシゲルの様子が見られて少し面白そうにしている。
「理由は話す事は出来ない。言ったら、まずい事になる。それに……」
「それに?」
「ミズカも責任を感じるだろう」
サトシはミズカを見た。責任を感じる? ピンと来ない。
「お前達も知らない方が良い」
「何処へ行くんだ?」
後ろを向いて去ろうとするノリタカにサトシが聞いた。
「あちらの世界へな。その方が都合も良い」
都合が良い。それも理由に絡んでいるのだろう。
「二人とも本当にすまなかった」
ノリタカは頭を下げる。去ろうと一歩踏み出したノリタカだったが、急にこちらを向いた。サトシの帽子に手を乗せる。
「カントーリーグ、ジョウトリーグ、ホウエンリーグの出場と活躍凄いな。バトルフロンティア制覇も知っている。今度はシンオウリーグか……。頑張れ」
サトシは帽子のつばを持って、帽子が脱げないようにした。涙が込み上げてくる。ノリタカは全部知ってくれている。自分の頑張りを。自分の努力を。彼は彼なりに応援してくれていた。
どうして、自分の子どもたちは、自分と違ってまっすぐなのだろうか。ダークライから目を覚ましたミズカは、とても勇敢だった。その時点で、ミズカを殺す気など潰えていた。
「お父さん……」
まだ父だと慕ってくれるミズカにノリタカは泣きそうになった。ミズカも安心してか涙が出てくる。急に緊張が解け、気が抜けた。
「ミズカ……」
「ピカピカ」
ホッとした表情のサトシに、ピカチュウは肩に乗ってニコッと笑う。
「行って来なさいよ。お父さんとたくさん話したいんでしょ」
サトシの肩をポンと、カスミが叩いた。彼は頷くとシゲルの腕を掴んだ。
「なんだい?」
「シゲルも行こうぜ。父さんに謝ってもらうからさ」
サトシの言葉に断ろうと口を開いたが、彼は断っても引っ張って行くだろう。そう思い、ついて行く事にした。後ろからエーフィも歩いてくる。
「……と、父さん」
サトシは、少し躊躇いを感じながらも父親を呼んだ。優しい表情の父を見るのは初めてで緊張する。
「サトシとシゲルか……。ミズカを頼む」
「え?」
何を頼まれたのか一瞬わからなかった。ミズカをよく見ると、ノリタカに抱きついたまま、かなり気持ち良さそうに寝ている。
「ね、寝てる……」
「多分、悪夢のせいだ。あの悪夢から抜けるとは聞いた事がないがな」
ノリタカは、ため息をついた。サトシ達は苦笑する。
「ミズカを殺そうとした理由とはなんですか?」
シゲルは、まだ彼らの父親を信用する事は出来なかった。二年前の出来事から引きずっている。ノリタカはシゲルを見つめると、ミズカを任せた。
「ミズカを好きになってくれてありがとな」
まさかそんなことを言われると思わなかったシゲルは思わず顔を赤らめる。それを隠すようにミズカを背負った。エーフィは下からシゲルの様子が見られて少し面白そうにしている。
「理由は話す事は出来ない。言ったら、まずい事になる。それに……」
「それに?」
「ミズカも責任を感じるだろう」
サトシはミズカを見た。責任を感じる? ピンと来ない。
「お前達も知らない方が良い」
「何処へ行くんだ?」
後ろを向いて去ろうとするノリタカにサトシが聞いた。
「あちらの世界へな。その方が都合も良い」
都合が良い。それも理由に絡んでいるのだろう。
「二人とも本当にすまなかった」
ノリタカは頭を下げる。去ろうと一歩踏み出したノリタカだったが、急にこちらを向いた。サトシの帽子に手を乗せる。
「カントーリーグ、ジョウトリーグ、ホウエンリーグの出場と活躍凄いな。バトルフロンティア制覇も知っている。今度はシンオウリーグか……。頑張れ」
サトシは帽子のつばを持って、帽子が脱げないようにした。涙が込み上げてくる。ノリタカは全部知ってくれている。自分の頑張りを。自分の努力を。彼は彼なりに応援してくれていた。