3章 チコリータ、ゲットだぜ!

「昨日、進化したんだよ。こいつも暴れたくてしょうがないみたいだ」
「ドリー!!」

こうして、バトルは始まった。

「イーブイ、スピードスター!」

ここはまず必中技をと、イーブイに指示を出す。イーブイは頷くと、オニドリルに向かってスピードスターを放った。オニドリルは攻撃を食らうと同時に切り替える。

「電光石火!」

電光石火で突っ込んでくると、イーブイにドリルライナーを仕掛けてきた。イーブイは何とか躱すが、続け様にオニドリルが、みだれづきで攻撃をしてくる。

ぴょんぴょん跳ねながら、躱すが、反撃しようがない。そこから、しばらくイーブイはオニドリルから逃げることになった。

額に汗の浮かぶイーブイを見ながら、ミズカは打開策を考える。もう10分くらい逃げ回っている。イーブイのタフさに助けられている。

オニドリルの攻撃のスピードとイーブイの躱すスピードは同じくらいだ。距離が近づくことも、遠ざかることもない。

「イーブイ、高速移動!」

スピードを上げて、躱すのに余裕をもたせようとした。イーブイは何とか、技を繰り出せそうなくらいにオニドリルから離れた。

「スピードスター! それから、電光石火!」

スピードスターを喰らわせて、電光石火でさらにオニドリルの懐を攻撃しようと走っていく。しかし、オニドリルは懐を攻撃されそうになったところを、翼でイーブイごと振り払った。イーブイは地面に叩きつけられる。

「イーブイ!」
「電光石火!」

オニドリルは電光石火でイーブイに近づくと、最後はドリルくちばしで戦闘不能に追い込んだ。

「ブ……イ……」

イーブイが倒れる。とはいえ、よく戦ってくれたとミズカは思った。

「イーブイ、ありがとう……。戻って」
「もう終わりか」

ミズカはイーブイをボールに戻す。ミズカのポケモンはイーブイのみだ。男はにやりと笑うと、ミズカを指差した。

「オニドリル! 行け!」

オニドリルは「オニー!!!」と天を仰ぎながら叫ぶと、ミズカのところへ勢いよく飛んでくる。咄嗟に避けようと思ったが、昨日チコリータが川に落ちたときのことを思い出した。

このまま避けたら、チコリータがまた巻き込まれてしまう。折角、体調が良くなったのに、これ以上チコリータを傷つけたくなかった。

だったらと、ミズカはチコリータを抱き上げた。チコリータはミズカの行動に目を見開く。「チッコー!!」と声を上げるが、ミズカは態勢を変えず、チコリータを守るように頭を伏せてしゃがみ込んだ。

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