32章 最後の戦い
仲間に扮する悪夢に振り向いた。悪夢達は冷たい表情でこちらを見てる。ミズカは真っ直ぐ見つめた。
「あんた達は違う! 皆はそんな冷たい表情もしなければ、そんな事を思ってもいない!! 皆、優しくて温かいよ!!」
とても大きな声で叫んだ。……すると、悪夢達の表情は和らぎ、そして消えていった。幼稚園児のミズカはポカンとした表情で顔を上げる。
ミズカは口角を上げた。
「ありがとう。今の自分に足りない物を思い出した」
「何を?」
「自分を……、信じること」
自分を信じることが出来なければ、他人を信じることなど出来るわけがない。結局それは、自分を信じてくれている仲間を信じられないことに繋がる。
ノリタカに対してもそうだ。なにかあると思っているのに、そこに深く突っ込めなかったのは、きっと自分を信じられなかったからだ。
「なんで思い出したの?」
「今までの旅を思い出してた。何をするにも無意識に身体が動いて……、でも、いつも失敗する気がしていなかったの。最近は、失敗するんじゃないかって自分に自信がなかった」
ミズカはニコッと笑った。思い出して、清々しい気持ちだ。
「自信って、自らを信じるって書いて、自信でしょ? これからは自分で居場所を探す。ちゃんと自信もあるよ」
「……うん!」
幼稚園児のミズカは大きく頷いた。自然と笑みが溢れた。お互いに笑いあう。
「お別れだね。本当はあなたを死の世界に連れて行こうと思ったのに……」
「悪夢だったはずだもんね」
「でも良いの。あなたがあたしで良かった。絶対、死なないでね」
幼稚園児のミズカはニコッと笑う。すると、粒子となって消えて行った。最後のひと粒が消えた瞬間、辺りは一気に白い世界へ変わる。
「ミズカ!!」
みんなの声がしてくる。みんなが待っている。
「今行くよ」
ミズカは静かに笑い、声のする方へ駆け出した。
「あんた達は違う! 皆はそんな冷たい表情もしなければ、そんな事を思ってもいない!! 皆、優しくて温かいよ!!」
とても大きな声で叫んだ。……すると、悪夢達の表情は和らぎ、そして消えていった。幼稚園児のミズカはポカンとした表情で顔を上げる。
ミズカは口角を上げた。
「ありがとう。今の自分に足りない物を思い出した」
「何を?」
「自分を……、信じること」
自分を信じることが出来なければ、他人を信じることなど出来るわけがない。結局それは、自分を信じてくれている仲間を信じられないことに繋がる。
ノリタカに対してもそうだ。なにかあると思っているのに、そこに深く突っ込めなかったのは、きっと自分を信じられなかったからだ。
「なんで思い出したの?」
「今までの旅を思い出してた。何をするにも無意識に身体が動いて……、でも、いつも失敗する気がしていなかったの。最近は、失敗するんじゃないかって自分に自信がなかった」
ミズカはニコッと笑った。思い出して、清々しい気持ちだ。
「自信って、自らを信じるって書いて、自信でしょ? これからは自分で居場所を探す。ちゃんと自信もあるよ」
「……うん!」
幼稚園児のミズカは大きく頷いた。自然と笑みが溢れた。お互いに笑いあう。
「お別れだね。本当はあなたを死の世界に連れて行こうと思ったのに……」
「悪夢だったはずだもんね」
「でも良いの。あなたがあたしで良かった。絶対、死なないでね」
幼稚園児のミズカはニコッと笑う。すると、粒子となって消えて行った。最後のひと粒が消えた瞬間、辺りは一気に白い世界へ変わる。
「ミズカ!!」
みんなの声がしてくる。みんなが待っている。
「今行くよ」
ミズカは静かに笑い、声のする方へ駆け出した。