32章 最後の戦い

「後、十五分だな」

低い声で父親が言った。仲間達は黙ったままだ。じっとミズカが起きてくれることを願う。相変わらず、彼女はピクリとも動かずにいた。

サトシはミズカを見る。何故、自分を助けたのだろう。責任を感じる。とくに何をするわけでもないが、さっきミズカから取り上げたナイフをギュッと握る。

――頼む、目を覚ましてくれ……!

サトシも仲間たちも願い続けた。
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