「レントラー、雷の牙！」
「コダック、念力！　ワンリキーはサーナイトに向かっていけ！」

レントラーの方が相性は良いはずだが、念力で技を封じられる。そして、ワンリキーはサーナイトに向かって走る。

「サイコキネシス！」

サイコキネシスでワンリキーを叩きつける。ワンリキーは怯むことなく、すぐに立ち上がってサーナイトに向かい、雷パンチを食らわせた。

今度はサーナイトが戦闘不能になる。最後はワンリキーのからてチョップでレントラーが倒れてしまった。

「どうした。余裕がないな」

ミズカがポケモンたちをモンスターボールに戻すのを見ながら、ノリタカが言う。先程攻撃したコダックは何事もなかったかのように再び金縛りを放った。

「息子にまで手を出すなんて最低！」

前を向き、叫んだように言う。攻撃できるポケモンがいないのでは、話し合いに持ち込むしかない。もう少し、自分の指示が上手かったらと思うが、今、反省している時間はない。

「仕方ないだろう。手を組もうとしたら、拒否したんだからな」
「……手を組もうとした？」

ミズカは眉を潜めた。自分の肩に腕をかけたサトシを見る。サトシはノリタカを睨みつけていた。

なんとなく話が読めた。自分を殺すために手を組もうとしたところ、サトシが拒否をし、ワンリキーで攻撃したという経緯だろう。

「あぁ、馬鹿だよな。断るからこうなるんだ」

ニッと笑うノリタカに腹が立った。ミズカもキッと睨み付ける。

「あんたの方が馬鹿だよ。なんで、あたしを殺すのに息子を使うの？　おかしいじゃん！」
「それ以上何も言うなよ。仲間がどうなるか……」

そう言われ、後ろを見る。仲間がコダックの金縛りで動けない。人質にされている。ミズカはグッと言葉を飲み込んだ。

その姿を見て、ノリタカはナイフを取り出した。サッと血の気が引いていくのを感じる。ギラリと光るナイフ。嫌な記憶が呼び起こされる。