32章 最後の戦い

チルタリスに案内され、着いたのは村の外れにある森の中だった。なかなかの複雑な道でチルタリスがいないと迷っていた。

「よく来たな」

目の前には、ノリタカと眠らされたサトシ、そして、コダックとワンリキーがいた。一瞬、倒れていたサトシを見てドキッとしたが、眠らされているとわかりホッとする。

「エーフィ!」
「フィ」

先手必勝、ミズカの指示の方が早かった。エーフィはノリタカとコダックに金縛りをする。それと同時にミズカはサトシの所へ駆け寄った。

「サトシ! サトシ、起きて!」

それは、いつの日にかあった光景。この世界では二年前のオーキド研究所で、コダックに記憶を消される時だ。ミズカは泣きそうだった。

「……ん?」

サトシが目を覚ます。ミズカはホッと胸を撫でおろした。

「ミズカ……?」
「良かった……。無事で……」

サトシはニッと笑った。起き上がろうとする。しかし、彼はちゃんとは起き上がれなかった。顔を歪めている。

「いってぇ……」
「もしかして、ワンリキーに攻撃された?」

ミズカの質問にサトシは頷く。なるほど、眠らされていたのではなく、ワンリキーの攻撃を諸に食らってしまい、気を失っていたようだ。ワンリキーの攻撃は、気を張っていないと、簡単に気を失うくらい痛かったのを覚えている。

「肩に掴まって。立てる?」
「あぁ……」

ミズカはサトシに肩を貸す。ゆっくり立ち上がった。他のみんなにも手伝ってもらおうと思ったのだが、コダックが二匹いることを忘れていた。皆、金縛りで動けなくなっている。無論、エーフィも、チルタリスも、ピチューもだ。

つまりノリタカはもう動けるという事になる。

「雷!」

そこへ後ろからレントラーが飛び出した。一匹のコダックが金縛りを解くが、もう一匹が負けじと金縛りを強める。

金縛り対策はすでにしている。ミズカのポケモンはエーフィだけではない。

「ほう。ワンリキー、からてチョップだ」

悪タイプのレントラーに、ワンリキーがからてチョップを仕掛けてきた。すると、奥からバシャーモがブレイズキックをワンリキーに食らわそうとする。しかし、ちょっとの差でみきられてしまった。

「サーナイト、サイコキネシス!」

今度はサーナイトがワンリキーにサイコキネシスを仕掛けた。みきりは上手く行かず、ワンリキーにヒットする。

「コダック、ハイドロポンプ!」

隙をついて、バシャーモがコダックのハイドロポンプを食らってしまった。効果抜群。バシャーモは動けなくなり、ミズカはモンスターボールに戻した。
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