30章 戦慄の戦い
「わざわざ探す手間が省けたが、ずいぶん弱いな。遊んでいてつまらない」
ミズカは唇を噛み締めた。ミズカの体はボロボロだ。意識が朦朧とする。攻撃を躱すことも出来ない。
「人を殺そうとするのは……、間違ってる……」
「まだ言うか。その傷で」
馬鹿にしたように、ノリタカは言った。
「あたしは……、死にたく……ない!」
一瞬、意識が飛びそうになったが、グッと堪える。息が上がる。気を失えば必ず殺される。なんとしても意識を持たなければならなかった。
「あたしが……生まれたのだって……、本当はお父さんの……せいじゃん」
「黙れ。コダック、サイコキネシスでこいつを地面に……」
「フィー!」
そこへ、エーフィが全速力で走って、ミズカの前に立った。ミズカの匂いを探って追い掛けてきたのだ。ミズカは目を見開く。エーフィはミズカがボロボロではあるがまだ無事でホッとした表情を見せた。
「ほう……、主人の死を見届けに来たんだな」
「フィー」
エーフィは物凄い剣幕でノリタカを睨みつけた。
「おいおい、そんな睨むなよ」
余裕の表情でエーフィを見下す。
「エーフィ……」
ミズカは心配そうな表情でエーフィを見る。なんとなく、来そうな気はしていた。エーフィが何かされるんじゃないかと不安が押し寄せてくる。
「いいだろう。バトルしてやる」
エーフィはやる気満々であるが、ミズカは不安で一杯だった。
「安心しろ、エーフィには何もしない」
父親はそう言うとコダックをもう一匹出した。ミズカはなぜ、コダックをもう一匹出すのだろうかと怪訝になる。
「まぁ、バトルは……、このコダックの金縛りをとけたらだがな」
ミズカの表情はひきつった。体が動かない。エーフィもそうだった。父親は最初からバトルをする気などなかったのだ。
「卑怯だよ!」
ミズカは動かない体を必死で動かそうとするが、無理だった。ノリタカは不吉な笑みを浮かべながら、ナイフを取り出した。ミズカは目を見開く。月に照らされてギラッと不気味に光った。
あまりの恐怖に声も出ない。父親はそれを楽しむように、一歩……、また一歩と、ゆっくりゆっくりミズカに近づいてくる。エーフィはそれを見て、今までにないような大きな声で、
「フィー!」
と、叫んだ。その声に、父親はコダックの催眠術でエーフィを眠らせた。きっとコダックを二匹出した理由はエーフィを眠らせるためだったのだろう。
「残念だったな。エーフィに、お前の死ぬところを見てもらえなくて」
ミズカは返事をしなかった。いまだに動かない体を動かそうとするが出来ない。父親は満足げに笑い、ミズカの目の前まで来た。そしてナイフで腹をゆっくりと刺す。ナイフの冷たさが気持ち悪い。
「……うっ」
「遊びは終りだ」
その瞬間、ミズカは金縛りが解かれ、その場に倒れた。
自分は死ぬのか。不思議と冷静だった。立ちたいが、力の入れ方がわからなかった。自分じゃ説得は無理だった。涙が溢れてくる。
「み……んな……、ごめん」
そのうち視界が霞んでいき、ミズカの意識は途切れ、静かに目を閉じた。
ミズカは唇を噛み締めた。ミズカの体はボロボロだ。意識が朦朧とする。攻撃を躱すことも出来ない。
「人を殺そうとするのは……、間違ってる……」
「まだ言うか。その傷で」
馬鹿にしたように、ノリタカは言った。
「あたしは……、死にたく……ない!」
一瞬、意識が飛びそうになったが、グッと堪える。息が上がる。気を失えば必ず殺される。なんとしても意識を持たなければならなかった。
「あたしが……生まれたのだって……、本当はお父さんの……せいじゃん」
「黙れ。コダック、サイコキネシスでこいつを地面に……」
「フィー!」
そこへ、エーフィが全速力で走って、ミズカの前に立った。ミズカの匂いを探って追い掛けてきたのだ。ミズカは目を見開く。エーフィはミズカがボロボロではあるがまだ無事でホッとした表情を見せた。
「ほう……、主人の死を見届けに来たんだな」
「フィー」
エーフィは物凄い剣幕でノリタカを睨みつけた。
「おいおい、そんな睨むなよ」
余裕の表情でエーフィを見下す。
「エーフィ……」
ミズカは心配そうな表情でエーフィを見る。なんとなく、来そうな気はしていた。エーフィが何かされるんじゃないかと不安が押し寄せてくる。
「いいだろう。バトルしてやる」
エーフィはやる気満々であるが、ミズカは不安で一杯だった。
「安心しろ、エーフィには何もしない」
父親はそう言うとコダックをもう一匹出した。ミズカはなぜ、コダックをもう一匹出すのだろうかと怪訝になる。
「まぁ、バトルは……、このコダックの金縛りをとけたらだがな」
ミズカの表情はひきつった。体が動かない。エーフィもそうだった。父親は最初からバトルをする気などなかったのだ。
「卑怯だよ!」
ミズカは動かない体を必死で動かそうとするが、無理だった。ノリタカは不吉な笑みを浮かべながら、ナイフを取り出した。ミズカは目を見開く。月に照らされてギラッと不気味に光った。
あまりの恐怖に声も出ない。父親はそれを楽しむように、一歩……、また一歩と、ゆっくりゆっくりミズカに近づいてくる。エーフィはそれを見て、今までにないような大きな声で、
「フィー!」
と、叫んだ。その声に、父親はコダックの催眠術でエーフィを眠らせた。きっとコダックを二匹出した理由はエーフィを眠らせるためだったのだろう。
「残念だったな。エーフィに、お前の死ぬところを見てもらえなくて」
ミズカは返事をしなかった。いまだに動かない体を動かそうとするが出来ない。父親は満足げに笑い、ミズカの目の前まで来た。そしてナイフで腹をゆっくりと刺す。ナイフの冷たさが気持ち悪い。
「……うっ」
「遊びは終りだ」
その瞬間、ミズカは金縛りが解かれ、その場に倒れた。
自分は死ぬのか。不思議と冷静だった。立ちたいが、力の入れ方がわからなかった。自分じゃ説得は無理だった。涙が溢れてくる。
「み……んな……、ごめん」
そのうち視界が霞んでいき、ミズカの意識は途切れ、静かに目を閉じた。