「エリコさん！　ポケモン達とのダンスが終わったら、自分とダンスを……」

エリコにすっかりほの字のタケシに、グレッグルが毒づきをかました。ミズカは初めて見るグレッグルの毒づきに感激し、サトシとヒカリは呆れた顔で苦笑していた。

グレッグルがタケシを引きずって席へ歩いていく。

「あなた達も座って」
「はい！」

エリコに促されて、ミズカ達は席に座った。ポケモン達のダンスが始まるのを待つ。

相変わらず、盛況だ。森の中だというのに沢山来ている。ダンスは程なくして始まった。ミズカにとっては４年も前の話だ。凄く懐かしく感じる。

ピチューは物凄く上手くなっていた。ストリートダンスを中心に披露する。ヒップホップに、ブレイクダンスに……。キレキレのダンスにトップを争う力があるのを目の当たりにする。

ポケモンダンス団に入れて良かった。ミズカはそう思った。

しばらく、ステージで踊っているポケモン達を眺めていると、突如網が降りかかってきた。そして、吊り上げられる。

「ピチュ！？」

その中にピチューもいた。ピチューの様子を見ると演出ではない様子だ。何事かと思い、天を見上げると毎度お馴染みのロケット団の三人が気球に乗っていた。

「……また、あいつらか」

ミズカは呆れた表情で、彼らを見た。いつものように登場セリフが始まる。ちなみに、シンオウに来てから、彼らのセリフは変わった。

「また、あいつらかと声を聞き」
「光の速さでやってきた」
「風よ！」
「大地よ！」
「大空よ！」
「世界に届けよデンジャラス」
「宇宙に伝えよクライシス」
「天使か悪魔かその名を呼べば」
「誰もが震える魅惑の響き」

ロケット団が楽しそうに口上を述べている中、

「よし、ピカチュウ頼むぜ」
「チルタリスもよろしく」

サトシとミズカは、それを無視して、チルタリスとピカチュウに指示を出していた。捕まったポケモン達を助けるため、網を切るのである。チルタリスの上にピカチュウが乗り、網で吊られたポケモン達に近づいていく。

「ムサシ」
「コジロウ」
「ニャースでニャース！」
「時代の主役はあたし達」
「我ら無敵の」
「ロケット団！」
「ピカチュウ、アイアンテール！」
「ピー、ピッカ！」

ロケット団の登場セリフが終わると同時にサトシはピカチュウに指示を出す。ピカチュウは、チルタリスからジャンプして離れ、網に攻撃する。しかし、破れなかった。ピカチュウは、攻撃が終わると、チルタリスの上にまた乗った。

「攻撃対策はバッチリなのにゃ。このスイッチがにゃいと絶対に無理にゃ」
「網なのにそんな事出来るの！？」

ミズカは少し関心した表情で彼らをみた。

「当たり前よ。諦めたら？」
「我らの辞書に不可能という字はないのだ」
「ふ～ん……。あんた達の辞書に不可能とい文字がないなら、あたしの辞書には諦めという文字がないかな。チルタリス、網じゃなくてニャースの持っているスイッチを狙って！」
「チル」

チルタリスは頷き、ニャースを嘴で突き始めた。