「もしかして……、ミズカ？」

後ろから声がし振り向いた。そこには、ポケモンダンス団でバイトしているアイミがいた。

「アイミ！」
「やっぱりミズカね！　髪の毛ショートだったから一瞬わからなかったけど……。ピチューが貴女を見るなり一目散に駆けていくから……」
「あはは、色々と事情があって、ロングヘアからショートに変えたの」
「へぇ～。あ、二人も久しぶり」

やっとアイミは、サトシとタケシに気づいた。三人は軽く挨拶をする。

「それで……、貴女は？」

挨拶が終わった所で、アイミはヒカリを見た。

「あたしはヒカリ。よろしくね」
「あたしは、アイミ！　ここでバイトしてるの。よろしく」

アイミとヒカリが自己紹介を終えると、ヒカリはミズカの腕に抱えられたピチューを見た。

「ねぇ、ミズカ。この子、ピチューよね？」
「あ、そっか。ヒカリは知らないんだった」

ミズカは苦笑した。興奮し過ぎて、すっかり周りの事が見えなくなっていた。

「この子はあたしのポケモン。今は、このポケモンダンス団でに所属してるの」
「へぇ～！」

ヒカリが感心した様子で声を上げると、ピチューはヒカリににこりと微笑んだ。

「そうそう、ピチューはね。今やダンス団の中ではトップを争うくらいなのよ」
「ピチュチュ！」

アイミが今のピチューの状況を話す。ピチューは頷いた。

「そっか、頑張ってるんだ！　ダンス上手かったもんね」

ミズカはとくに驚かなかった。ピチューのことだ。きっとかなり努力をしたに違いない。

あのとき、ピチューをここに残るように促して良かったと思う。初めてのポケモンとの別れは、本当に辛かった。けれど、こうしてピチューがやりたいことをやって、成長したことを聞けるのはとても嬉しい。

「アイミ！　仕事しなさい」

そんなタイミングで出てきたのは団長のエリコだった。

「あら。あなた達、久しぶりね」
「お久しぶりです。いつもピチューがお世話になってます」

ミズカは、お辞儀をする。

「いいのよ。さぁ、もう始まるわ。ピチュー、久しぶりにミズカちゃんにダンスを見せてあげなさい」
「ピチュ！」

エリコの言葉に、ピチューは頷く。そして、ミズカの腕から離れた。