「イワーク、こっちも叩きつけるだ」
「ゴ～ウ」
「レントラー、スピードを落として！」

イワークはレントラーに攻撃しようと尻尾らしき部分を振り落とす。

「レントラー、後ろにジャンプ！」
「ガウ！」

しかし、そこはレントラーも仕掛けていた。ギリギリまで引き付けて、レントラーは後ろへジャンプした。結果、イワークは地面を叩きつける。

「噛み砕く！」
「ガウ！」

レントラーは顎が強い。効果は今ひとつだが、ある程度ダメージが見込まれた。

「レントラーを振り落とすんだ」

しかし、もちろんヒョウタが黙っているわけがない。イワークはレントラーは振り落とし、小岩に激突させた。

「今だ、捨て身タックル」

イワークはレントラーに捨て身タックルをする。レントラーはかわす事が出来ず、まともに食らってしまい、その場に倒れた。

「先を読み足りていないな」

シンジは呟いた。ミズカは小岩を計算に入れていなかった上に、先を読んでいなかった。ミズカはいつも公園や広場でトレーナーとバトルすることが多い。特殊なフィールドでのバトルは慣れていない。

「レントラー戦闘不能、イワークの勝ち！」
「レントラー、ありがとう。後は休んで」

ミズカは、レントラーをモンスターボールに戻した。自分の指示についての反省は後だ。頭の中で必死にレントラーのバトルを反芻する。

慣れていないフィールドを使うことと、先を読みながらバトルすることを天秤にかける。両方はいきなり無理だ。ミズカはそうして次のポケモンを決めた。

「チルタリス、プレイバトル！」
「チル！」

フィールドを気にする必要があまりないチルタリスにした。

「岩があることを計算に入れてなかったみたいだね」
「はい。でも次は計算の必要はないです。チルタリス、いつもより空高く上がって！」

ヒョウタに答えながらも、ミズカはチルタリスに指示を出した。

「なるほど、空中戦と言うわけだね。イワーク、気をつけるんだ」

ヒョウタの言葉に、イワークは頷いた。

「ミズカ……、何するんだろう……」
「もし仮に完成していても、この時点でゴッドバードは使わせないだろうな。あんな上昇させたのも意味があるはずだ」

ヒカリは、ミズカの指示に首を傾げた。タケシもそうは言うが、彼女が何をしたいのかよくわからない。サトシも同様である。

「チルタリス、急降下しながら竜のいぶき！」
「チール！」

もの凄い勢いでチルタリスは急降下する。

「躱すんだ！」

ヒョウタの言った通りにイワークは躱すがこれが罠だった。

「そのまま、電光石火で鋼の翼！」

イワークは避けるとき、一瞬動きが鈍くなる。ミズカはそれを狙った。そして、一気に加速をつけ、イワークに攻撃した。思いの外、イワークに入ったダメージは大きかった。