28章 初のジム戦!

「おはよう、ミズカちゃん」
「おはようございます」

翌朝、ミズカは、クロガネジムに来ていた。フィールドは岩タイプに有利な岩のフィールド。真ん中に岩はなく攻撃しやすそうだが、回りに小岩などがあり、当たったら普通以上にダメージを受けそうだった。

「ところで、なんでシンジが?」

ヒカリが言った。彼らから離れた所にシンジがいた。昨日の夕飯前、シンジに何時からなのか聞かれてミズカは答えておいた。ヒカリ達は、経緯を知らない。

「じゃあ、始めよう」

ジムバトルは始まった。ミズカは少し緊張する。

「これより、チャレンジャーミズカ対ジムリーダーヒョウタのジム戦を始めます。使用ポケモンは三体、どちらかのポケモン全てが戦闘不能になったら、試合終了です。なお、ポケモンの交代はチャレンジャーのみ認められます」

審判のイワオが言った。余計緊張してくる。 心臓の動きがいつもより早く感じる。

「ミズカ! 頑張って~!」
「プレッシャーが気になるな」

ミズカを応援しているヒカリの横でタケシがボソッと言った。サトシとヒカリはタケシを見る。

「え?」
「どういうことだよ?」
「いくらサトシと互角にバトルが出来ると言っても、ジム戦は普通のトレーナーと戦うのとは異なる雰囲気がある。サトシの負けた後でもある上に、何よりジム戦というものが初めてだ。ミズカと言えどプレッシャーは、かなりのものだろうな」
 
そう。ミズカが緊張している理由は、まさしくそこだった。散々バトルはやっているが、公式の場ではやったことがない。

サトシが負けたことを考えると、ヒョウタの実力は相当だ。

「大丈夫なの?」
「わからない。ミズカの判断力によるな」

心配の表情を浮かべたヒカリにタケシはそう言った。

――あいつ、ジム初めてか……。でかい口叩いてたわりには大した事なさそうだな。

シンジはそう思うが、サトシと互角という言葉が気になる。

妙な緊張の中、バトルは始まった。

「いけ、イワーク!」
「ゴ~ウ」

ヒョウタが、まず最初に出したポケモンはイワークだった。

「さぁ、君のポケモンは何だい?」
「レントラー、プレイバトル!」
「ガウ」

対してミズカは、レントラーを出した。相性はかなり悪い。

「レントラー、電光石火!」

最初に先手を取ったのはミズカだ。レントラーは、電光石火でイワークに攻撃しようとする。

「イワーク、叩きつける!」
「ゴ~ウ」

しかし、攻撃する前に、イワークが地面にレントラーを叩きつけた。

予想以上にイワークはスピードがあった。アニメで観るのと、実際に観るのでは、全然違う。ミズカは息を飲む。

「もう一度、電光石火!」
「ガウ!」

レントラーは、イワークに向かい、またも電光石火をする。

「また同じ事になるんじゃない?」
「いや、考えがあるんだろう」

ヒカリの質問にタケシがそう答えた。
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