27章 覚悟

翌日、シゲルの言った通り、二日前に戻っていた。何だか自分だけ知っていると言うのは、変な感じだ。

「ミズカ、先生から」
「わかった」

この日は朝から電話があった。担任からだ。

「もしもし、元気にしてる?」
「はい」
「今日、あなたの家に言ってもいいかしら? アマノ先生と一緒に……」

アマノ先生とは、一年の時の担任である。

「はい、いいですよ」

ミズカは言った。しかし、こんな大きく話が変わるとは……。一昨日の今日は、こんな電話はなかった。ただ、ミズカが電話を掛けて先生に明日から行きますと伝えたのだ。

同じ日でもずいぶん違う。担任との話を終えると、母に受話器を渡した。そして、どうやら、本当に来ることになったらしい。午後に先生が来た。

「調子はどう?」
「はい、絶好調です」

アマノ先生から聞かれ、そう答えた。サトシと元に戻れたからか、今日は気分が良い。

「学校には……、どう? まだ行かない?」

担任が心配した表情でミズカを見た。見られた彼女は少し考える。今、登校し始めれば、必ず、この世界で父親に見つけられ、殺され兼ねない。彼に見つかるなら、ポケモン世界の方が、まだマシだ。だからこそ、サトシ達もミズカを呼びに来た。

「三時間だけでも出ない? 昼食の時に家に帰るの」
「あんた、そのくらいなら出来るんじゃない?」
「え……」

担任とアマノ先生に言われ、ミズカは言葉が詰まった。

「わかった。明日から迎えに行ってあげる」
「は?」
「だから、明日は着替えて用意しときなさい。テニス部に会わないように、学習タイムの時間に着けば良いでしょ」

アマノ先生に、勝手に話を進められ、結局行くことになった。結果的には、自分は学校に行くようになっているのだなとミズカは思う。そして、送り迎えがあるなら、父親が現れることがない。とても感謝である。

次の日、また学習タイムの時間に行くため、重い空気の中で教室に行くのだが、何故か、気分はランランだった。席もわかる。空気が重い理由もわかる。それでも、ミズカはおかしく思われないように、この間と同じようにした。

まず、席をリンが話しかけてくれるまで探すフリをし、先生に空気が重い理由も聞いた。そして、三時間目までやり、保健室に行って、何故か先生に送ってもらえた。ミズカにとっては、嬉しい事だが、さすがに悪いと感じた。母もそう思ったらしく何度もお礼を言っていた。

そんな日を何日か繰り返し、ミズカは、ある目的でポケモン世界に行った。
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