「レントラー、まずは十万ボルトで、コダックの手前を狙って！」
「ガウ！」

レントラーは、十万ボルトを放つ。が、コダックは全く動じず、集中を切らさずにいる。

ミズカは、散々ピカチュウの十万ボルトを見ている。威力だけで見ると、ピカチュウの十万ボルトに匹敵する。いや、それ以上かもしれなかった。

「レントラー、今度は遠慮なくコダックに雷！」
「ガ～ウ！」

すると、コダックは一気にノックダウン。戦闘不能となった。

「ちっ」

ノリタカは舌打ちして、コダックをモンスターボールに戻す。そして、そそくさと行ってしまった。

「強いね……。びっくりした」

やっと体が動くようになったミズカが言うとレントラーはすり寄って来た。ミズカは嬉しくなり、頭を撫でる。

「でもどうしてレントラーが雷の技を使えるってわかったの？」
「十万ボルトがピカチュウに匹敵するかそれ以上の威力だった。この子、顎も強いし、多分、噛み砕くや雷の牙辺りの技も使えると思うよ」
「なんで、そこまで？」
「ん？　感覚」

ミズカの答えに、ヒカリは苦笑した。感覚でここまでわかるのだろうかと不思議に思う。

「お～い！　ミズカ、ヒカリ～！」

森の奥から声がした。サトシだ。二人だけを呼んでいるということは、タケシも一緒なのだろう。

「ここよ！」

ヒカリが叫んだ。サトシとタケシが走って来る。レントラー達を見て、サトシとタケシは顔を見合わせた。

「どうしたんだ？」
「お父さんが来たの……。そこにいるレントラーのおかげで助かったけど……」

ホッとした表情でミズカは言った。内心、かなりどぎまぎしていた。サトシとタケシと言えば、驚いた表情でミズカを見ている。

「さて、ポケモンセンターに戻ろう。レントラー、ありがとね」

ミズカはもう一度、レントラーの頭を撫でた。他のレントラーやルクシオ達も表情が穏やかになっている。サトシは頷き、ポケモンセンターに向かって歩き始める。ミズカとヒカリは、レントラー達に手を振り、サトシとタケシの後をついて行った。

「ねぇ、ミズカ。背中……大丈夫？」
「……ちょっと痛むかな。でも、これくらいで痛いとか言ってられないし……ね？」

心配しているヒカリにミズカは笑って見せた。

「あ、そうそう。ポケモン達、みんな一緒に旅を続けてくれるって！」
「本当か？　良かったな！」
「安心しただろう」

サトシとタケシの言葉に大きく頷いた。本当に嬉しかったのだ。

「なぁ、ミズカ……」

サトシが急に立ち止まった。ミズカは呼ばれて首を傾げる。サトシは短く息を吐いた。今度は自分がミズカと話す番だ。