27章 覚悟

「もう……、ミズカ、どこに行ったのかしら……」

ミズカを探しているヒカリ。見当たらないので手分けして探す事にした。しかし、見つからない。

「ミズッ?!」

大声でミズカを呼ぼうとしたら誰かに手で口を抑えられ、木の影に連れて行かれた。ヒカリは驚いて暴れる。

「静かにして」

後ろから聞こえたのは聞き覚えのある声。小声で話しかけられた。

「……ミズカ?」

ヒカリは、ミズカだとわかると、暴れるのを止めた。ミズカは手を離す。

「どうしたの?」
「ポケモン達と話してたら、お父さんが……」
「え? じゃあ……」
「今は隠れてる。でもまずいよね……。そろそろ暗くなるし……」

ミズカは空を見上げた。青々としていた空はほんのり茜色に染まっている。

「サトシもタケシも、ミズカの事を探してるわ」
「じゃあ、先に二人と会わなくちゃ」

ヒカリも賛成らしく頷いた。そして、木々の間をすり抜けて、また歩いて行く。エーフィが後ろを気にしながら歩いてくれている。少し安心だった。

「ねぇ、ミズカ……、道わかるの?」

ミズカについて行くも、ヒカリはちょっと不安になってきた。そもそもミズカは、さっきこっちの世界に来たばかり。しかも、それはポケモンセンターの中だった。

「知らないよ? こっちは必死で走ってたんだから」
「え……、じゃあ、ポケモンセンターに戻る道は?」
「当然」

当然とは、当然知らないという意味である。ヒカリは呆れた表情を見せた。

「ヒカリ」
「何?」
「あたしが先頭歩くと大抵迷子になるから気をつけて」
「今頃言わないでよ!」

ヒカリが怒る。エーフィは苦笑する。そして、自分が先頭で行けばよかったと後悔した。

「ねぇ、ヒカリ?」
「どうしたの?」
「……さっきからさ、何かに睨まれてる気がするんだけど……」

ミズカがキョロキョロと辺りを見回した。ちなみにさっきまでミズカが先頭だったが、一生迷子で終わりそうなため、今はヒカリが先頭である。

「睨まれてる? それって……」
「お父さんじゃないよ。多分、ポケモンが数匹ぐらい……」

ミズカからその言葉を聞き、ヒカリは足を止めた。ミズカもそれに合わせる。そして、ミズカは実況を始める。

「うわ……、丸く囲まれてますね。電気タイプみたい。レントラー……、ルクシオ、コリンクかな」
「え? なんでわかるの?」
「シルエット」

ヒカリの質問にそう答えた。彼女は驚く。エーフィはミズカとヒカリの前に出て構える。
10/18ページ
スキ