27章 覚悟

「サトシと遊んでいる途中……、たしか、イーブイが木から降りられなくなっていて、それで助けた後、途中まで遊んだんだっけ……」

ミズカが言うと、シゲルは頷いた。

「そっか……」

ただそれだけで、エーフィが自分のパートナーになってくれたのが、ミズカにはとても嬉しかった。

「それじゃあ、僕は行くよ」
「うん、ありがとう」
「またな」
「近い内に会うよ」

そう言って、シゲルは行ってしまった。ミズカはそれを見送ると、モンスターボールを出す。

「まずは、ポケモン達に、話さなくちゃね……」

話して、もう自分のところには居たくないと言われても仕方がないと、ミズカは思った。ポケモン達を締め付けるような事はしたくない。

――それから、強くなる事を考えよう……。

ミズカはそう思った。モンスターボールを持ち、立ち上がる。

「あたし、外に行ってポケモン達と話してくる」
「大丈夫?」

ヒカリが聞くと、ミズカは「大丈夫、大丈夫!」と、彼女の口調を真似しながら部屋を出て行った。

「気をつけろよ!?」

ドアが閉まる前に焦ってサトシが言うと、微かに「わかってる」と、ミズカの声が聞こえた。それに驚いたのは、ずっと旅をしていたタケシだ。

今まで、ミズカが散歩をするのはいくらでもあった。しかし、こんな焦ったような心配はしたことがない。

「サトシ、お前……。いつからミズカを妹として視るようになったんだ……」

タケシはサトシに聞く。その表情は笑っていた。タケシからすれば、拗れたサトシとミズカの関係を修復する兆しに思える。

「え……」
「今までなら、散歩に行くとミズカが行っても、心配なんかしなかっただろう?」
「いや……、それはミズカが狙われてるからであって……」
「本当にそれだけか? ポケモン達がいるなら安心しても良さそうだが。むしろ、もとの世界に帰った後の方が俺は心配だ」

タケシの言葉に納得してしまったのか、サトシから表情がなくなった。そう。サトシ達はポケモン達に話しても、ミズカを受け入れてくれるのをわかっていた。

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