「あたし……、何をしたいんだろう……」
「ポケモン達に聞いてみたらどうだい？」

呟くミズカに、シゲルが提案する。

「ポケモン達に？」
「これから先、ポケモン達の力は必要不可欠になる。オーキド博士も、こうなることを見越して、ミズカをトレーナーにしているしね。だが、君は極力仲間を巻き込みたくない。違うかい？」
「……違くない」
「だったら、君がやることはまずポケモン達と向き合うことじゃないかと思う。怖いかもしれないが、君から話してくれないとポケモン達は不安になる」

シゲルの言葉は、今ミズカが欲しい言葉だった。覚悟ができていないのは、ポケモン達の反応を見るのが怖いのもあった。ポケモンの気持ちを知らない状態で立ち向かう覚悟なんてできるわけがない。

「ミズカ、それはいいかもしれないぞ」

シゲルに賛成し、タケシが頷く。

「僕はそろそろ行かなきゃならない。……行く前に一つだけ、話しておくよ」

シゲルは、自分の荷物を持って立ち上がった。

「君の最初のポケモン。エーフィは、事実を全て知っていた」
「え……。いつから？」
「最初からだよ」

ミズカは息を呑んだ。

つまり、エーフィだけはミズカとサトシの関係を知っていたし、この状況を知っていたということだ。

「エーフィは、初めからこうなると知っていて、ミズカのパートナーになったんだ」
「エーフィが……」
「オーキド博士……、本当はジョウト地方の初心者ポケモンを、君の最初のパートナーにするつもりだった。だけど、事情を話したら……」
「皆嫌がったってことね」

それが普通だ。見ず知らずの人間を……、しかも命を狙われている奴なんかのパートナーにはなりたくないだろう。

「それを偶然聞いていたのがイーブイだった」
「それであたしのパートナーに？　でもなんで……」
「君と、一度会っていたからだよ。覚えているかい？　三歳の君がサトシと何をして遊んでいたか」

そう聞かれ、記憶を辿る。全てを思い出したと言っても人間だ。印象の強いことをよく思い出していた。しかし、どうやって遊んでいたかはうっすらと思い出せてきた。サトシとシゲルと一緒だったが、そこにはポケモンもいた。