3章 チコリータ、ゲットだぜ!

「ねぇ、イーブイ……」
「ブイ?」
「チコリータ大丈夫かな……」
「ブイ!!」

ご飯を食べ終わり、隣に来たイーブイに話す。イーブイは大きく頷いた。まだ出会ったばかりなのに、イーブイは優しい。ミズカはイーブイの頭を優しく撫でた。イーブイは気持ちよさそうにした。

「ミズカ」

カスミが声をかけ、サンドイッチを差し出す。ミズカは首を横に振る。

「いらない」
「食べないと体もたないわよ?」

言っても食べそうにない。カスミはため息混じりに、サンドイッチを掴むと、そのままミズカの口に突っ込んだ。

「……!?」
「食べなさい。イーブイも心配してる」

口に突っ込まれた一口をモグモグしながら、ミズカはイーブイを見た。

「チコリータが心配なのはわかるけど、それでイーブイに心配掛けるのは違うんじゃない?」

ミズカは目を見開く。隙をついて、もう一口分、カスミはミズカの口にサンドイッチを突っ込む。モグモグと口を動かす。

イーブイは心配そうな顔でこちらを見つめていた。口に物を運んだからか、頭が少し働いてくる。

「……残りもらう」

カスミからサンドイッチを受け取り、ミズカは自らサンドイッチを口に運ぶ。カスミとイーブイは顔を見合わせると口角を上げた。

「おかわりなら、まだあるぞ」

お皿に乗せて、タケシがサンドイッチを持ってくる。ミズカは苦笑すると、素直に2つ目を受け取る。

「サンドイッチ、美味しい」
「まずは看病する側が元気でないとな」
「うん」

ミズカは大きく頷き、サンドイッチを平らげると再びチコリータの看病に尽くした。


翌日、ミズカは目を覚ます。

昨日、タケシから消毒液は掛けすぎてはいけないことを教わり、腫れている部分は冷やすように言われた。チコリータは熱があったようだったが、冷やすところが適切だったのか、朝は熱が下がっている。

少しは良くなかったかとホッとしていると、チコリータがむくりと起き上がった。立ち上がり、ブルブルと頭の草を揺らしながら顔を横に振って目を覚ますと、チコリータはミズカを捉えた。

ミズカの隣では、イーブイがぐっすり眠っている。

「チコリータ! 大丈夫? すごい傷だらけだったんだけど……」

ミズカは手を伸ばして、チコリータに触れようとした。しかし、チコリータは拒否した。つるのむちでバシッとミズカの手を叩く。ミズカの手に痺れるような痛みが走った。

「痛っ……」
「どうしたの?」

すぐ近くで眠っていたカスミが起きて、声を掛けてきた。ミズカはカスミを見上げて、口を開く。

「それが……」

途端、チコリータは隙をつく。ダッと物凄い速さでどこかへ走っていく。ミズカは慌てて立ち上がった。イーブイはまだ眠っている。
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