26章 本当の気持ち
「へぇ~、じゃあミズカとはすごく親しいんだ!」
後ろから、そう聞こえて来る。だからと言って話に加わろうとは思わなかった。加わって、カスミや友達との輪に入って話すのは楽しいだろう。だが、そうすればきっと、自分はまたポケモン世界に行きたくなる。ミズカは堪えることにしたのだが、現実的には上手くいかない。
「ミズカもおいでよ!」
リンに呼ばれた。
「いや……。その……、あたしは……」
ゴニョゴニョ断ろうとするが、リンはミズカの腕を掴み話の輪の中へ連れていく。
「何言ってんのよ。遠慮しないしない」
ちゃんと断ることは出来なかった。断って変に思われても困る。
「ねぇ、さっきから話してるんだけど、カスミってポケモンのカスミに似てない?」
「え……」
まず、始めに出た質問。これは、ミズカと同じくポケモンが好きなサチが聞いてきた。もっとも彼女はゲーム派だが、アニメもたまに見ている。
「ま……、まあね」
曖昧だが、そう答えた。
「なんか微妙な言い方。サトシとシゲルだって似てるでしょ?」
「……うん」
そう言って、チラッとサトシとシゲルを見た。男子達と話している。二人とも学ランで雰囲気が違う。とても十歳には見えなかった。カスミもそうだ。珍しく髪をおろした制服姿、何処と無く、大人びて見えた。きっと、ミズカがポケモン世界に行くと十歳になるのと同じだろう。この三人の外見は今、十三、十四歳だ。
「あ! そういえば、カスミは知ってるの?」
リンがパチンと手を叩いた。カスミは何のことかわからず、首を傾げる。
「こいつが、ポケモンオタクってことだよ」
そう言ってミズカの横から顔を出したのは、マアサだった。カスミは、思わず吹き出す。
「やっぱり、可笑しいよね! サチもそうだよ」
リンはニッと笑い、ミズカとサチを見た。ミズカは苦笑。サチは嬉しそうだった。
「ミズカがポケモンバカなのは知ってるわよ」
「お、さすがミズカの親友じゃん」
カスミが笑いながら言うと、マアサはそう言いながらミズカの肩を叩いた。
「痛い……」
ミズカは痛がる。 仕方ない。カスミに事情を聞くかと、ミズカは諦めた。
「カスミ、ちょっと来て」
「なんでよ?」
「聞きたい事があるの!」
そう言いながら、首を傾げているカスミを廊下に連れ出す。
「あんたら……、どうやって入って来たわけ? だいたい、ここら辺、中学多いんだから、あたしの居場所、普通わからないでしょ……」
小声で話す。これを聞かれてはまずいと思ったのだ。
「中学は、テニス部が厳しい学校が何処かを聞けば一発だったわ」
「どうやって入って来たの? 住民票が必要なはずなんだけど……」
「シゲルが上手く誤魔化してくれたわよ。今、親はまだこちらに来ていないので住民票の変更が済んでいないって……」
「……それで? だって在学証明書も必要なはずでしょ……。他にも必要なはずなんだけど……」
「そうそう、よくわからないから、親が来たときにって言ったのよ。だったら一日だけって言う話を持ち込まれて、了解を得たってわけよ!」
「ありえない……」
普通ならありえない。そんな話しだけでは、まず、入れるわけがない。完全な部外者だ。今や教員免許を持っていないのに、嘘をついて教師が出来てしまったりと変な時代だ。このくらい、出来てしまうかもしれない。そんな時に、授業始まりのチャイムが鳴った。ミズカはあまり納得せず席に座る。
後ろから、そう聞こえて来る。だからと言って話に加わろうとは思わなかった。加わって、カスミや友達との輪に入って話すのは楽しいだろう。だが、そうすればきっと、自分はまたポケモン世界に行きたくなる。ミズカは堪えることにしたのだが、現実的には上手くいかない。
「ミズカもおいでよ!」
リンに呼ばれた。
「いや……。その……、あたしは……」
ゴニョゴニョ断ろうとするが、リンはミズカの腕を掴み話の輪の中へ連れていく。
「何言ってんのよ。遠慮しないしない」
ちゃんと断ることは出来なかった。断って変に思われても困る。
「ねぇ、さっきから話してるんだけど、カスミってポケモンのカスミに似てない?」
「え……」
まず、始めに出た質問。これは、ミズカと同じくポケモンが好きなサチが聞いてきた。もっとも彼女はゲーム派だが、アニメもたまに見ている。
「ま……、まあね」
曖昧だが、そう答えた。
「なんか微妙な言い方。サトシとシゲルだって似てるでしょ?」
「……うん」
そう言って、チラッとサトシとシゲルを見た。男子達と話している。二人とも学ランで雰囲気が違う。とても十歳には見えなかった。カスミもそうだ。珍しく髪をおろした制服姿、何処と無く、大人びて見えた。きっと、ミズカがポケモン世界に行くと十歳になるのと同じだろう。この三人の外見は今、十三、十四歳だ。
「あ! そういえば、カスミは知ってるの?」
リンがパチンと手を叩いた。カスミは何のことかわからず、首を傾げる。
「こいつが、ポケモンオタクってことだよ」
そう言ってミズカの横から顔を出したのは、マアサだった。カスミは、思わず吹き出す。
「やっぱり、可笑しいよね! サチもそうだよ」
リンはニッと笑い、ミズカとサチを見た。ミズカは苦笑。サチは嬉しそうだった。
「ミズカがポケモンバカなのは知ってるわよ」
「お、さすがミズカの親友じゃん」
カスミが笑いながら言うと、マアサはそう言いながらミズカの肩を叩いた。
「痛い……」
ミズカは痛がる。 仕方ない。カスミに事情を聞くかと、ミズカは諦めた。
「カスミ、ちょっと来て」
「なんでよ?」
「聞きたい事があるの!」
そう言いながら、首を傾げているカスミを廊下に連れ出す。
「あんたら……、どうやって入って来たわけ? だいたい、ここら辺、中学多いんだから、あたしの居場所、普通わからないでしょ……」
小声で話す。これを聞かれてはまずいと思ったのだ。
「中学は、テニス部が厳しい学校が何処かを聞けば一発だったわ」
「どうやって入って来たの? 住民票が必要なはずなんだけど……」
「シゲルが上手く誤魔化してくれたわよ。今、親はまだこちらに来ていないので住民票の変更が済んでいないって……」
「……それで? だって在学証明書も必要なはずでしょ……。他にも必要なはずなんだけど……」
「そうそう、よくわからないから、親が来たときにって言ったのよ。だったら一日だけって言う話を持ち込まれて、了解を得たってわけよ!」
「ありえない……」
普通ならありえない。そんな話しだけでは、まず、入れるわけがない。完全な部外者だ。今や教員免許を持っていないのに、嘘をついて教師が出来てしまったりと変な時代だ。このくらい、出来てしまうかもしれない。そんな時に、授業始まりのチャイムが鳴った。ミズカはあまり納得せず席に座る。