26章 本当の気持ち
『オーキド博士へ
すみません。大変な勝手をする事にしました。私は、もう二度とこのポケモン世界に来ません。実は博士が話していたこと聞いていて、全て思い出してしまったんです。
それから、あの人がなぜ私に会いに来たのかもわかりました。父は、私を殺しに来たんですよね? ポケモン世界で私を殺すために、エーフィを盗んだんですよね?
私は父に相当恨まれているのでしょう。
昔、この世界に来た時、サトシに会いに来た他に、父は私を捨てに来たか、殺しに来たのでしょう? きっと博士は止めてくれ、私が対抗する力を持てるようにトレーナーにするため、この世界へ呼んでくれたんですよね。
どんな理由があろうと、私は呼んでくれたことに感謝しています。大切な友人たちに会えた。ここでの思い出は、私の宝物です。
だからこそ、私はもうここに来るのをやめます。この先、仲間たちを巻き込もうとは思えません。何より、サトシにこれ以上辛い思いをさせたくないです。ただでさえ、私はサトシから父親を奪っているんです。
サトシには、父が何を考えて接触をしに来たのかは言いません。もうこの世界には来ないとだけ言いたいと思います。本当のことを言ったら、たとえ私といるのが辛くても「俺も手伝う」って言ってくると思います。それを私は望んでいません。
今まで、有り難うございました。感謝してます。
p.s.ポケモンたちに挨拶をしたら気持ちが揺らぎそうだったので何も話していません。博士から話していただけますか? 最後にわがままをごめんなさい。
ミズカ』
それを読み終えたサトシの手紙を持つ手は震えていた。
「なんだよそれ。だからあんな突き放した言い方したのか……。知ってたら、手伝うに決まってるだろ……」
あの喧嘩の後、帰ってからミズカはどんな顔をしていたのだろうかとサトシは思った。
オーキドから話を聞いてから、ミズカは短い時間で沢山のことを考えていたようだ。ミズカはミズカだった。もとの世界での話から一人で抱え込む性格なのをわかっていたはずだ。
自分や仲間を巻き込みたくないから一人で立ち向かう。その覚悟を持って、ミズカはサトシに縁を切ると言った。
手紙に目を向ける。
たとえ私といるのが辛くても。
ミズカはまだサトシの気持ちをちゃんと汲み取ってくれてはいない。サトシ自身、ミズカを仲間として見るのか、妹として見るのかは整理がついていない。ただ、ミズカと二度と会えない方が辛い。
「……サトシ、単刀直入に聞くよ」
黙ったサトシを見つめながら、シゲルは口を開いた。サトシはシゲルを見る。
「……ミズカのいる世界に行くかい?」
その質問にサトシは驚いた。まさか、そんな言葉を聞くとは夢にも思わなかった。
喉から手が出るほどの言葉だ。そうか、こちらから会いに行けばいいのだと。だが、ミズカが望んでいないことだ。本当に心から自分のことを望んでなかったとしたら……。
サトシはまだ記憶が戻っていない。傷つけたのは自分のはずだが、その記憶がはっきりとは思い出せない。それなのに、会いに行っても良いのだろうか。
すみません。大変な勝手をする事にしました。私は、もう二度とこのポケモン世界に来ません。実は博士が話していたこと聞いていて、全て思い出してしまったんです。
それから、あの人がなぜ私に会いに来たのかもわかりました。父は、私を殺しに来たんですよね? ポケモン世界で私を殺すために、エーフィを盗んだんですよね?
私は父に相当恨まれているのでしょう。
昔、この世界に来た時、サトシに会いに来た他に、父は私を捨てに来たか、殺しに来たのでしょう? きっと博士は止めてくれ、私が対抗する力を持てるようにトレーナーにするため、この世界へ呼んでくれたんですよね。
どんな理由があろうと、私は呼んでくれたことに感謝しています。大切な友人たちに会えた。ここでの思い出は、私の宝物です。
だからこそ、私はもうここに来るのをやめます。この先、仲間たちを巻き込もうとは思えません。何より、サトシにこれ以上辛い思いをさせたくないです。ただでさえ、私はサトシから父親を奪っているんです。
サトシには、父が何を考えて接触をしに来たのかは言いません。もうこの世界には来ないとだけ言いたいと思います。本当のことを言ったら、たとえ私といるのが辛くても「俺も手伝う」って言ってくると思います。それを私は望んでいません。
今まで、有り難うございました。感謝してます。
p.s.ポケモンたちに挨拶をしたら気持ちが揺らぎそうだったので何も話していません。博士から話していただけますか? 最後にわがままをごめんなさい。
ミズカ』
それを読み終えたサトシの手紙を持つ手は震えていた。
「なんだよそれ。だからあんな突き放した言い方したのか……。知ってたら、手伝うに決まってるだろ……」
あの喧嘩の後、帰ってからミズカはどんな顔をしていたのだろうかとサトシは思った。
オーキドから話を聞いてから、ミズカは短い時間で沢山のことを考えていたようだ。ミズカはミズカだった。もとの世界での話から一人で抱え込む性格なのをわかっていたはずだ。
自分や仲間を巻き込みたくないから一人で立ち向かう。その覚悟を持って、ミズカはサトシに縁を切ると言った。
手紙に目を向ける。
たとえ私といるのが辛くても。
ミズカはまだサトシの気持ちをちゃんと汲み取ってくれてはいない。サトシ自身、ミズカを仲間として見るのか、妹として見るのかは整理がついていない。ただ、ミズカと二度と会えない方が辛い。
「……サトシ、単刀直入に聞くよ」
黙ったサトシを見つめながら、シゲルは口を開いた。サトシはシゲルを見る。
「……ミズカのいる世界に行くかい?」
その質問にサトシは驚いた。まさか、そんな言葉を聞くとは夢にも思わなかった。
喉から手が出るほどの言葉だ。そうか、こちらから会いに行けばいいのだと。だが、ミズカが望んでいないことだ。本当に心から自分のことを望んでなかったとしたら……。
サトシはまだ記憶が戻っていない。傷つけたのは自分のはずだが、その記憶がはっきりとは思い出せない。それなのに、会いに行っても良いのだろうか。