26章 本当の気持ち

ミズカがポケモン世界に来なくなってから幾日が経った。今はコトブキシティを越えクロガネシティを目指している。そんな夜、野宿をしているヒカリ達は寝静まった。が、サトシだけは起きていた。

ゴソッとミズカが置いて行った手鏡を出した。ヒカリが預かった物なのだが、彼女はサトシが預かっておくべきだと言った。ちなみに、エーフィはオーキド研究所に預けた。オーキドにはもう電話でミズカについて話してある。彼は、話を聞くだけ聞いて後は切ってしまった。

手鏡を見る。ミズカの冷たい表情が思い出された。殴ったあの時、少しだけミズカの表情が歪んだ気がした。それが何故だかわからない。

そもそもミズカがあんなことを言う性格でないことをサトシはわかっている。真意がわからない。

「……なんで、あんなこと言ったんだよ」

サトシはボソッと呟き、寝袋に顔を潜らせた。


その翌日、サトシ達はポケモンセンターを見つけ、今日はそこで休むことにした。そこのロビーで、幼なじみでライバルであるシゲルが待っていた。

「シゲル!?」

思わず駆け寄った。

「やっと来たね。待っていたよ」

そう言われ、何のことかと首を傾げた。

「誰?」
「サトシの幼なじみでライバルのシゲルだよ」

ヒカリの質問にタケシが答えた。ヒカリは、へぇ。と呟き、二人を見る。

「待ってたってなんだよ? まさか、ミズカのことか?」

サトシの質問に黙ってシゲルは頷いた。そして、手紙を渡す。

「これは、ミズカがオーキド博士に宛てた手紙だよ。ミズカが最後にこの世界に来た時に書いて、リュックの中に入れたらしい。リュックは、もとの世界に戻った時、オーキド研究所に届くからね」

サトシには、この手紙に見覚えがある。ミズカと喧嘩をするちょっと前に、彼女は何か書いていた。きっとその時のものだろう。

「読んでみるといい」

シゲルが促す。サトシは、ゆっくり紙を広げて手紙を読み始めた。
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