オーキドは、おおよそそんな話をされて、ノリタカを止めたのだろう。しかし、ノリタカの恨みはオーキドが止められるものではなかった。だから、オーキドはいつかこうなることを予想して、ミズカをポケモントレーナーにしてくれたのだ。

いつかノリタカが牙を剥いたとき、ミズカにも立ち向かう力があるように。

こないだ、ミズカが頭を殴られたとき、シゲルが一度もとの世界に帰れと言ったのも、それが理由だろう。シゲルは逃してくれたのだ。次襲われないように。

そして、ノリタカはきっと普通に殺そうとは思っていない。ノリタカに会ったとき、彼はミズカが真相を知っているのかを確認した。あの場で殺さなかったのは、きっと、真実を知って欲しかったから。色んなことを後悔させて殺そうと思っている。

「……エーフィ、ごめんね。あたし帰るよ」

眠るエーフィに別れを告げる。けじめはつけなきゃならない。ミズカはそっと治療室を去った。