「なぁ……。さっきオーキド博士の怒鳴り声が聞こえたけど……、なんだったんだ？」
「な、なんでもないよ。さ、戻ろう」
「あ……あぁ」

サトシはシゲルの様子に少し不審に思いつつ、庭に戻った。サトシはまったく知らないまま、ポケモンたちとじゃれ合う。シゲルはとてもじゃないが、そんな気分にはなれないでいた。願わくば、男性をオーキドが止めてくれるように願っていた。

「サトシ」

しかし、男性は強引に庭に入ってきた。

サトシが振り向くと、見知らぬ男性とその男性に抱えらるた女の子がいる。何がなんだかわからなかったが、この二人がシゲルの様子が変だった理由と直感した。

サトシは見知らぬ男性に、自分の父親だと名乗られた。その上に、この男性に抱かれた女の子が自分の母ハナコではなく他の女性から生まれた子だと言う事も全て話された。サトシははじめ、話についていけなかったが、次第に状況を飲み込んでいった。

なにかの冗談かと思い、シゲルを見る。彼はサトシから目を逸らした。それからが大変だった。いきなり、妹が出来た彼は無論、どうしたらいいかわからなかった。

しかし、オーキドと父親と名乗った男は二人で話して来るから頼むと言って、女の子を置いて行ってしまった。

「な、なあ……。どうしたら良いと思う？」

わかっていた。シゲルもかなり驚いている事は……。だが、助けを求められずにはいられなかった。案の定、シゲルは困った表情をした。

「名前でも聞いたらどうだい？」

しかし、考えてはくれたようで、返事が返ってくる。ミズカは女の子の名前を聞いていない事に気づいた。

「君の名前は……？」

名も知らない自分の妹の名前……、そうミズカと言う少女の名前を聞いたのだ。後は夢の通り。サトシ、シゲルと遊び、写真を撮り、そして、ミズカとサトシの記憶は、父親のポケモン、コダックによって消された――。