25章 突きつけられる真実

「で。連絡します? それで来たんでしょ?」
「あぁ……、覚えてたんだな」
「うん。覚えてたけど……」
「少し躊躇いがあるのか……」

サトシも躊躇いがあった。あまり怖がるタイプではないはずだが、サトシには得体の知れない不安が付き纏っていた。ミズカにオーキドに聞いてほしいと言われたときに、聞けなかった。その理由は聞いたら、ミズカとの関係が変わってしまいそうだと直感したからだ。

「でも、聞かなきゃね!」
「あぁ」

一抹の不安を抱えつつ、二人は覚悟を決めてオーキドに電話した。

「おぉ、連絡待っておったぞ」

電話をするとすぐにオーキドは出た。


「エーフィはどうなったかのう?」
「なんとか助けられました……。今は治療室で寝ています。父とも接触しました」
「エーフィが無事で何よりじゃ。それで、お前さんは父親から何か言われたかの?」
「いいえ……。聞きたい事があるならオーキド博士に聞けと……」

うむ。と呟いて腕を組むオーキドを見て、ミズカとサトシは顔を見合わせる。オーキドもまた言いたくなさそうだ。

「あの……。それで、俺達……」
「わかっておる。ここまで来ては、話すしかないからのう」

サトシが口を開くと、オーキドは諦めたように頷いた。

「落ち着いて聞くんじゃぞ」

その言葉に、二人は息を飲んだ。今まで大人の事情で済まされていた内容をこれから聞く。二人の額にはじんわりと汗が滲んだ。

少しの沈黙の後、その事実は唐突に二人を引き裂いた。

「お前さん達は、兄妹なんじゃ」

一瞬、何を言われているかわからかった。

兄妹……? 誰が? 誰と……?

「お前さん達は……母親違いの兄妹なんじゃ」

オーキドは繰り返し言った。二人の顔は、徐々に目を見開いて青褪めていった。驚きのあまり声も出ない。

つまり、ミズカの実父は、サトシの実父ということになる。

「博士……。それって……、ミズカが接触した父親が俺の父親だって事ですか?」

確認するようにサトシが言った。ミズカは未だに口を開けずにいる。

「そうじゃ。そして、二年前じゃったな。三歳のミズカが来たのは」
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