25章 突きつけられる真実

「……エーフィ。無事だったのね。……良かった。本当に良かった……」

嬉しさのあまり思わず涙が出てきた。しかし、感動している場合ではなかった。いつの間にか、実父ノリタカは自分の後ろに立っていた。冷や汗が出てくる。

「ミズカ!」

やっと来たサトシ達は立ち止まる。

「久しぶりだな。サトシもいるのか」

夢の中でしか会ったことがないノリタカを見て、サトシは顔をしかめた。夢が夢でなかったと、サトシはようやく実感する。

「何で、あなたがここにいるんですか?」
「来たらそれか。挨拶もないのか、お前は」
「何故いるんですか?」

父親の言葉を無視してミズカは、それだけを聞く。睨みつける目はサトシ達でも見たことのないくらい、冷たかった。

「親を睨むとはな」
「あなたは、もうあたしの親ではないですから。なんでこの世界にいるんですか。今頃ノコノコ出てきたと思ったら大事な友達を奪うなんて……」

ギュッとエーフィを抱き締める。ノリタカはミズカを見下ろすと、小さく息を吐いた。

「……まだ、何も知らないようだな。今日は気分が乗らない。今度にしてやる。分からないことはオーキド博士にでも聞いとけ」

ノリタカは森の方へ歩き出した。納得のいかないミズカはノリタカを追いかけようとするが、それをヒカリが止める。

「ミズカ、やめなさいよ。今は、エーフィの方が大事よ」

ミズカは悔しそうにノリタカの背中を見送った。そして、急いでポケモンセンターに戻ると、エーフィを治療してもらった。

「あの……、エーフィは……?」

ミズカは心配そうな表情でジョーイに聞く。ここは治療室である。ジョーイは心配するミズカにニコッと微笑むと、

「もう大丈夫よ」

と言う。ミズカは、少し力が抜けたのか、表情を和らげた。

「ありがとうございました」

部屋から出ていくジョーイさんを見送り、ミズカはエーフィを見つめた。あれだけ傷ついていたのだ。きっと逃げないよう父のポケモンから攻撃されていた。

エーフィがこんな目に遭う必要はないはずだ。

「……エーフィ。ごめんね」

スヤスヤ眠っているエーフィを起こさないように謝る。

「……ごめん」

身体が震え、涙が溢れ出てきた。悔しさと安心と……、複雑な気持ちだった。泣いてばかりいられない。治療室を出て部屋に戻る。
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