25章 突きつけられる真実

「なるほどな。ミズカは我慢し過ぎてたのか」
「らしいよ」

タケシの言葉に、まるで他人事のように言うミズカ。三人は呆れた表情を見せた。

「らしいよって……。自分のことだろ?」
「だって、自分じゃ我慢の限界がわかんないんだもん……」

サトシに聞かれ、ミズカはムッとした表情で答えた。散々我慢し過ぎて、完全な麻痺状態になってしまったのだ。一度辛いことがあって、それをズルズル引きずりながら奴隷みたいなことになっていたのだから、当然かもしれない。

「確かに一人で頑張りすぎる節はあったからなぁ」

タケシはボソリと呟く。

「人が信じられないって、言ってたけど、この世界は大丈夫なの?」
「平気。疲れちゃったのは、もとの世界のことでだから……。なんかここに来たほうが気が紛れる。まあ、今はエーフィのことが最優先なのもあるけど」
「何かあったら、すぐこの世界に来るもんな」

サトシに言われ、何故そんなことがわかるのだろうと不思議に思った。そして、浮かんできた顔と言えば、カスミの顔だ。
 
――あいつか! ペチャクチャ話したのは……。

ミズカはため息をついた。

「だから、気にしないで? 学校のことはゆっくり考えるつもり。全部話したことだし、先に進もうよ」

話が真剣だったためか、いつの間にか立ち止まっていた一行は再び歩み始めた。

「何か久しぶりのポケモンセンターだー!」

そう言いながら、ベッドにダイブしたのはミズカである。

「このまま、寝ちゃいそう……」
「大丈夫。寝たら起こしてあげるわ!」

欠伸をするミズカにヒカリが笑う。

そんな平凡な会話の中、部屋の外から急いで来る足音が二つ。足音は部屋の前で止まり、勢いよくドアを開けてサトシとタケシが入って来た。そんな二人をぽかんと口を開けてミズカとヒカリは見た。

「ミズカ! これ」

ミズカは起き上がると、何か手紙をもらった。まさか、と思い、サトシを見た。彼はゆっくり頷く。緊張が走った。ミズカの父親からの手紙なのだ。ジョーイさんが預かっていたらしい。

ミズカはゆっくりと封を開けた。手紙を恐る恐る読み始めた。

『これを見たらすぐに来い。ポケモンセンターの裏で待ってる』

それを見て、ミズカは勢いよく部屋を飛び出した。父との再会は、ありえないほど緊張する。しかし、そんなことよりも祈ることは、エーフィの無事だった。

「俺達も行こうぜ」

サトシ達も、部屋を後にした。

「エーフィ、いるの? 返事して!」

ポケモンセンターの裏に行くと息する間もなくエーフィを大声で呼んだ。

「フィー」

すると、木の影から、傷ついたエーフィが出てきた。ミズカは驚きながらも、エーフィに駆け寄り、抱き締めた。

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