25章 突きつけられる真実

休むわけにはいかない。自分に無理矢理に鞭を打って学校に行き、我慢も積み重なっていた。先生達もミズカの状況に納得したらしい。

スクールカウンセラーが言うには、彼女には休養が必要だということだった。我慢に我慢を重ねて、学校に行きたくないとまでなったのは、心が疲れてしまったから。逆に言うと、そうなるまでミズカは頑張っていた。

最も本人には自覚がなかったが。

偶々、その授業は担任の受け持ちだった。ミズカの席まで担任が寄る。

「帰りの準備をして」
「え……? あの、帰りの準備ですか?」

当然、何も知らないミズカはちんぷんかんぷんで、周りはざわつく。

「ミズカ、どうしたの?」
「さ、さぁ……。あたしもよくわからない」

友達のリンに聞かれ、帰りの準備をしながらも曖昧に答える。

「具合が悪いから、ドクターストップをかけられたのよ」

ドクターストップ……。学校じゃ、まず聞かない響きだ。クラスメートもミズカも、動揺しつつ、帰りの準備が済んだミズカは教室を出た。

「先生……」

教室を出ると、そこにいたのは、一年生の時の担任、アマノだった。生徒会に出るか出ないかで大変お世話になった先生だ。今のクラスの担任は、授業のため教室に戻って行った。

「あの……」
「さ、一階でお母さんが待ってるよ」
「え? お母さんがですか?」

未だに状況が掴めていないミズカにアマノはため息をついた。

「無理しなくていいのよ。大会なんて、どうでもいいじゃない。今はあんたの心が一番大事でしょ」

そう言われ、やっと何のことか理解した。同時に、その言葉は心に詰まったものを解かれた。

大会なんてどうでもいい。初めてそんなことを言われた。

「ほら、荷物持ってあげる」
「いえ、重たいんで……」

置き勉をしないミズカの鞄はパンパンだった。これを持つと言われても困る。

「置き勉してないからこうなるのよ」

結局、鞄を持ってもらった。アマノは、何故か置き勉のせいにする。なんでも、正しくをモットーにしているミズカは、学校ではクソ真面目だった。置き勉もしなければ、Yシャツの第一ボタンだって開けない奴だ。

周りにどう見られているのかを怖がっている今、尚更だった。

「教師がそんなこと言っていいんですか……?」
「しないほうがおかしい。あんたは何でも我慢し過ぎなの」

完全ミズカの頭をおかしくみているアマノ。正しい事をしてるのに、変なものだ。

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