25章 突きつけられる真実
「お……おい。不登校ってどういうことだよ?」
「そのままの意味ですけど?」
振り返り平然と答えるミズカに呆然とするサトシとタケシ。妙な空気が流れる。
「あ~。もう最初から話して!」
割って入って来たのはヒカリだった。いい加減堪えられなくなったのだろう。ということで、ミズカは端から端まで全てを話した。
「……それで、挙げ句の果てに精神的についていけなくなって学校にまでいけなくなっちゃった」
――つい最近のこと。
「お母さん……今日、学校に行きたくない」
その日の始まりはミズカの言葉から始まった。
いい加減、顧問からの脅しに嘘。上辺だけの部員との関係に、ミズカは人を信じられなくなっていた。もう、何もかもやりきれない気持ちでいっぱいだった。そんな状態での一言だった。
「途中からでもいいから行きなさい。お母さんもついて行ってあげるから」
母からそう言われた。部活で近いうち大会もある。そのため、仕方なくミズカは了解した。鞄とラケットを持つが、今日は部活に出なくていいと母に言われた。
そうして、いそいそと学校まで母親と来たのだが、
「ほら、行ってきなさい」
学校の門で立ち止まってしまった。学校が恐く感じる。まるで、お化けを怖がっている子供である。とにかく、学校が大きな化け物に見えた。このまま飲み込まれてしまいそう。ここに入ったら自分が自分でなくなってしまう……。そんな風に思えた。
「え……?」
母はそんな娘に驚いた様子だった。
ミズカ自身も信じられなかった。こんなふうに学校を怖いと思ったことは一度もない。
部活以外は、案外学校が好きなはず。じゃあなんで校門を前に立ちすくんでしまうのか。頭では行きたいと思うのに心は否定した。深呼吸をする。震える体を抑えながらも、教室まで足を運んだ。
教室の前に来てまた怖さが襲う。自分はどんなふうに見えているのだろう。部活では奴隷のようで、学校には全然いけなくなって……。唐突に、周りの目が気になった。ミズカは動悸する胸を抑える。やっとのことで教室の中へ入った。
ミズカの姿が気になった母親は、先生に相談することにした。色んな先生と話して何時間も経った。
「帰らせた方が良いでしょう。彼女も辛いはずです」
結論は帰らせるだった。その頃には母にもミズカは今までのことを話せていた。無視されていたこと、生徒会を止められたあとに先輩の応援をさせられたこと、ペアを組んだ子に失敗すると不機嫌になられること。
だから、自律神経失調症になってしまったこと。
それにすぐそこに大会がある。ただでさえ、休みがちで、同級生から白い目で見られていることをミズカはよくわかっていた。休んで負けたら、自分のせい。
知らず知らず、『試合に負けたら、お前のせい』だと言った顧問の言葉が、ミズカの心を締め付けていた。
「そのままの意味ですけど?」
振り返り平然と答えるミズカに呆然とするサトシとタケシ。妙な空気が流れる。
「あ~。もう最初から話して!」
割って入って来たのはヒカリだった。いい加減堪えられなくなったのだろう。ということで、ミズカは端から端まで全てを話した。
「……それで、挙げ句の果てに精神的についていけなくなって学校にまでいけなくなっちゃった」
――つい最近のこと。
「お母さん……今日、学校に行きたくない」
その日の始まりはミズカの言葉から始まった。
いい加減、顧問からの脅しに嘘。上辺だけの部員との関係に、ミズカは人を信じられなくなっていた。もう、何もかもやりきれない気持ちでいっぱいだった。そんな状態での一言だった。
「途中からでもいいから行きなさい。お母さんもついて行ってあげるから」
母からそう言われた。部活で近いうち大会もある。そのため、仕方なくミズカは了解した。鞄とラケットを持つが、今日は部活に出なくていいと母に言われた。
そうして、いそいそと学校まで母親と来たのだが、
「ほら、行ってきなさい」
学校の門で立ち止まってしまった。学校が恐く感じる。まるで、お化けを怖がっている子供である。とにかく、学校が大きな化け物に見えた。このまま飲み込まれてしまいそう。ここに入ったら自分が自分でなくなってしまう……。そんな風に思えた。
「え……?」
母はそんな娘に驚いた様子だった。
ミズカ自身も信じられなかった。こんなふうに学校を怖いと思ったことは一度もない。
部活以外は、案外学校が好きなはず。じゃあなんで校門を前に立ちすくんでしまうのか。頭では行きたいと思うのに心は否定した。深呼吸をする。震える体を抑えながらも、教室まで足を運んだ。
教室の前に来てまた怖さが襲う。自分はどんなふうに見えているのだろう。部活では奴隷のようで、学校には全然いけなくなって……。唐突に、周りの目が気になった。ミズカは動悸する胸を抑える。やっとのことで教室の中へ入った。
ミズカの姿が気になった母親は、先生に相談することにした。色んな先生と話して何時間も経った。
「帰らせた方が良いでしょう。彼女も辛いはずです」
結論は帰らせるだった。その頃には母にもミズカは今までのことを話せていた。無視されていたこと、生徒会を止められたあとに先輩の応援をさせられたこと、ペアを組んだ子に失敗すると不機嫌になられること。
だから、自律神経失調症になってしまったこと。
それにすぐそこに大会がある。ただでさえ、休みがちで、同級生から白い目で見られていることをミズカはよくわかっていた。休んで負けたら、自分のせい。
知らず知らず、『試合に負けたら、お前のせい』だと言った顧問の言葉が、ミズカの心を締め付けていた。