「あ～、腹減った……」

コトブキシティを目指して旅をしているサトシはお腹を空かせていた。後ろから、一人の少女が追いかけていることを誰も気が付かない。

「少し早いが、お昼にするのもいいかもな」

タケシが言うと、隣りにいた新たな仲間、ヒカリもうんうんと頷いた。

「おーい」

そんな三人を大声で呼ぶ声が聞こえる。彼らは振り向くと、そこにはサトシとタケシの見覚えのある少女がいた。サトシに近づき、ニッと笑う。

「久しぶり！」
「久しぶりだな！　トネリコタウンで皆待ってたんだぜ？」
「え……、あぁ……。その、もとの世界で色々と忙しかったの……！」

サトシに鋭い所を吐かれ、少女は、そう返すことしか出来なかった。

――サトシ達の知り合い？　もとの世界？

ヒカリは混乱していた。もとの世界という言葉も聞き慣れないし、このショートカットの少女のことも二人から何も聞かされていない。少女は混乱しているヒカリに自己紹介をする。

「はじめまして。あたし、ミズカ！　よろしくね、ヒカリ！」
「よろしく……って、なんであたしの名前を？」

ヒカリはますます混乱するばかりだ。

「ヒカリに話しておけば良かったな……」

タケシがボソッと呟く。何も話していなかったことを知り、ミズカは苦笑した。

そこから、ミズカは混乱するヒカリに説明をする。自分は違う世界の人間。その世界ではポケモン世界のことがアニメでやっていることを話した。

最初こそ意味がわからなかったが、次第に理解してくれたようだった。

「というわけなの。ごめんね、驚いたでしょ」
「大丈夫！　だから名前がわかったのね」

ヒカリは混乱が解けたようでミズカはホッとした表情を見せた。

「さて、ここで昼食にしよう」
「やった～。俺、腹ペコ」

ミズカは顔がひきつるのを感じた。いつも食事の時はモンスターボールからポケモンを出して一緒に食べる。つまり、このまま一緒に食事を食べれば、エーフィがいないことがバレるのである。

「あたしもー。ミズカも食べるでしょ？」
「いや……」
「食べるって、ミズカは大食いなんだぜ？」
「サトシ……。人のこと言えないだろう……」
「ピカピカ」

ヒカリに聞かれ、断ろうとするミズカだが、タイミングを逃がす。断れない空気になってしまった。

「じゃあ、今から準備するからちょっと待っててくれ」

タケシが荷物を下ろす。結局、サトシ達と昼食を食べることになった。