「無茶しないでよ。あんた、サトシと同じで無鉄砲なんだから」

ミズカはカスミの言うことを察していたのか、やっぱり、という顔をした。大抵、自分が無理をするときには、カスミはそう言う。

「もちろん」
「……あんた、わかってないでしょ」
「わかってるって！　もうカスミは心配しすぎだよ」

呑気に笑っているミズカにカスミは呆れた。

「とにかく、突っ走らないことよ！　……あ、ジムの挑戦者が来たみたい。それじゃあね！」

カスミはそう言って切ってしまった。

「も～。言いたいこと言って切らないでよ～！」

一方的に切られ、ミズカはムッとしながらテレビ話に文句を放つ。さっきまで、親友が映っていた画面は、何もなかったかのように、漆黒の色へと変わっていた。

誰も見ていない。それを確認するとミズカは表情を和らげた。

「カスミ……、ありがとう」

何も映っていない画面にボソリと呟く。なんとなく笑みが溢れた。

そんな彼女を後ろから、そっと四つの影が見守っていた。サトシ達だ。

「ミズカ、元気になったみたいだね」
「あぁ、良かったぜ」
「かもかも。安心したわ」
「しかし、まだ、不安なんだろうな。本人は顔に出さないが」

タケシの言葉に、サトシ、マサト、ハルカは黙ってしまった。ミズカを見ると、明るい表情の彼女が、自分のポケモンに話しかけている。

サトシ達は心配になりながらも、顔を見合わせると、ミズカが戻ってくる前にと、部屋へ戻っていった。