23章 スイクン伝説

その頃、エーフィは途中でサトシ達の匂いに気がつき、その匂いを辿って風のように走っていた。

「……フィ?」

目の前に歩いている人影を見つける。エーフィは、すぐにサトシ達だとわかり、叫んだ。

「フィーフィ~!」

サトシ達は振り向くとエーフィに気がつく。ピカチュウはサトシの肩から降り、エーフィに話しかけた。

「ピカチュ、ピカピカ?」
「フィフィ、フィ」
「ピカァ!?」

ピカチュウはミズカは何処なのか聞いたらしい。エーフィが答えるとピカチュウは驚いた表情になった。ピカチュウの行動からサトシ達はこのエーフィがミズカのエーフィだと察した。

「どうしたんだ、ピカチュウ?」
「ミズカは?」

サトシとマサトに聞かれ、エーフィとピカチュウは顔を見合わせた。

「ピカピ、ピカチュウ!」

こっちだとピカチュウはエーフィが来た道を1、2歩、歩いた。

「この先に行けば良いんだな!」
「フィ!」

サトシの言葉にエーフィは頷いた。彼らはエーフィの案内で森の中へ進んで行くことにした。しばらく進んで行くと、ブソン、バショウとバトルしているミズカの姿があった。その後ろには、檻に閉じ込められた伝説のポケモン、スイクンの姿がある。

「さて、お遊びはここまでにしましょう」
「……っ」

ミズカの手持ちはもう戦闘不能状態だった。バシャーモが辛うじて立っているが、もうこれ以上の戦闘は難しい。そこへ、エーフィがミズカの前に立った

「エーフィ!?」
「ミズカ、一体どうしたのよ」

エーフィが出てきたことで驚いているミズカに、ハルカは声をかける。ハルカ達からしたら、この状況は少し理解に苦しむ。とくにハルカとマサトは、ブソンとバショウを知らない。わけがわからない状況だった。

「みんな!」
「ちっ、また出やがった」

ブソンは面倒くさそうに言った。

「どうなってるんだ?」
「偶然、スイクンを捕まえているこいつら二人を見つけて……」
「偶然ではありませんよ」

タケシに聞かれ、ミズカが答えていると、横からバショウが口を挟んだ。ミズカは顔をしかめる。

「何故なら、スイクンはあなたに会いに来たのですから……」
「あ? バショウ、じゃあコイツが……違う世界の奴か」

思わず、ミズカ達は目を見開いた。何の話だかついていけない。

「なんで、あたしがこの世界の人間じゃないってわかったの?」

思わず質問した。ブソンとバショウは違う世界があること自体を知らないはずなのだ。

「スイクンの行き先は貴女の近くだからです。気づいていないんですか? スイクンはずっと貴女のそばにいましたよ」

バショウの答えになっていない答えに、ますますわからなくなった。そばにいた……。それっていつからだろうか。
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