23章 スイクン伝説

「後20秒です。その間に、鼠を一匹捕まえましょう」
「頼むぜ」

バショウは、早足でミズカの所に近づく。動揺して、モンスターボールを落とす。ポケモンを出して指示する余裕もない。後一歩のところまで、バショウが近寄り、とうとう見つかった。

「やはり」

ちょうどモンスターボールを拾ってエーフィを出したところどった。

「エーフィ……」

無理矢理に指示を出そうとするが、バショウに素早く口を塞がれる。口は塞がれたが、幸い手は封じられていない。ミズカは森の奥を指す。

――お願い行って! 誰かを呼んできて!

サトシ達が近くにいるはずだ。ミズカの思いが通じたらしく、エーフィは心配な表情をしながら、頷いてく森の奥へ走って行った。

「あなたも、よくやりますね。しかし、もう遅いです」

呆れた声でバショウは言った。ミズカは、なんとか抵抗してバショウを退ける。しかし、ブソンのリモコンを取る暇はなく、ちょうどスイクンが捕まったところだった。

「スイクン!?」

眼前には捕らわれたスイクンがいた。檻に入っている。どうやら、ブソンがヘリコプターにくっつけていた檻を絶妙なタイミングで落とし、捕まえたようだ。

「どっかで見たことあると思ったら、お前、いつかのガキじゃねぇか」

ミズカは、ブソンの言葉を無視し、スイクンのいる檻に駆け寄ると開けられるところはないか探した。

「無駄です。それは特殊な物で作られてますからね。逃げたらどうです?」
「まあ、前歴があるとなると、お前を逃がすわけにはいかないがな」

不適な笑みを見せるバショウに、ニッと笑いながら指をボキボキ鳴らすブソン。ミズカはごくりと息を飲みつつ、覚悟を決めてモンスターボールに手をかけた。

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