3章 チコリータ、ゲットだぜ!

気がつくと、森の中だった。

「やっぱり、本当だった!」

ミズカは誰もいない森の中で確認するように声を出した。服を見ると、パジャマではなくこの間の服だった。リュックも背負っている。

前回とは異なり、何の躊躇いもなしにリュックの中を覗いた。オーキド博士から、また手紙が入っている。ミズカはリュックを無造作に地面に置き、両手で手紙を見つめた。


『ミズカへ

前回、説明が不足していた部分があったのでな、手紙を書かせてもらった。

まずは、この世界とあちらの世界の時間について。時空間の関係があってか、時間の進み方はバラバラじゃ。 たとえば、お前さんが1週間おいて、こちらの世界に来たとする。このとき、こちらの世界では、1日しか経っておらんかもしれん。もしかすると3日しか経っておらん場合もある。しかし、ミズカの世界で1週間経っていても、こちらの世界では1週間以上経ってることはないんじゃ。

つまり、1週間経ってこちらの世界に来た場合、最低で1日経ち、最高で6日経つことになるんじゃ。平均して3日の滞在で2時間と考えると良いじゃろう。とはいえ、あくまで平均じゃ。時空間のきまぐれでズレることもある。あるいはこちらの世界のほうが時間が進むこともあるかもしれん。3日以上の滞在は避けとくれ。

また、リュックや服装、モンスターボールはお前さんがこの世界に来ると、自動的にお前さんのもとへ送られるようになっておる。お前さんがもとの世界に帰ると、それら一式は自動的に、このオーキド研究所に送られるから心配はいらんぞ。こちらに滞在している間、向こうの世界での服装は研究所にある。朝起きて汚れた状態であったら、ミズカの両親が不思議に思うからのう。両親にはこちらの世界に来ていることを内緒にしとくれ。

今回は、リュックにモンスターボールを入れておいた。野生のポケモンを捕まえる時に使うんじゃぞ! もし他に必要なものがあったときは遠慮なく言ってくれ。

オーキドより』

「なるほど」

ミズカはオーキドの言っていることの半分もわからなかった。が、3日くらいで帰ったほうがいいことや、持ち物のことはどうなっているかわかった。今はそれで十分だ。

また、オーキドは何故か両親にはこのことを言うなという。たしかに、夜にいなくなるのは後ろめたい気持ちがある。両親に話すつもりはミズカもなかった。とはいえ、ミズカは首を傾げる。それはミズカの都合であって、オーキドには関係がない。

ここにオーキドはいない。真意は聞けない。ミズカはリュックに手紙をしまって、気を取り直した。

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