22章 キルリア、怖がり克服中の混乱!

「ミズカ、ミズカ!」

ゆっくりと目を開けると、サトシが目に映った。自分は気持ちよく眠ってしまっていたらしい。

「サトシ……」
「もう行くぜ!」
「うん……」

このタイミングで続きを見たということは、おそらくは自分は昔のことを思い出しつつあるのだろう。そう分析をしながら、サトシを見上げる。

「どうしたんだ?」
「夢見たの。あの夢……」
「見たのか!」

サトシは目を見開いた。

「うん……。冷たい空気が流れて、少し怖かった」
「怖かった……?」

サトシはミズカの言葉に首を傾げた。

あの夢が本当だったとして、あの雰囲気は一体何だったのか。シゲルが自分のことを嫌っている理由が、そこにあるとしたら、サトシが思い出したらどうなるのだろう。

怖さを感じているのは幼い頃のミズカではない。今のミズカだ。

「……サトシは、あの夢どこまでみた?」
「ミズカと遊んで写真を撮るところまでだぜ?」
「あたし、今、その後を見た。研究所に戻って……、そしたらサトシが急に倒れた。目が霞んでて何が起きたのかよくわからなかったけど……」
「けど……?」
「多分……、記憶を消されたんだと思う」

そう言いながら、ミズカは立ち上がった。お尻についた砂を払う。

「……消された?」

サトシに聞き返され、ミズカはコクッと頷いた。

「でも、あくまで夢から得た情報だから、当ってるかなんてわかんない」
「そっか……」
「あと……、あたしのお父さん……。コダックを持ってた」
「ミズカのお父さんが……」

ミズカの父親はポケモン世界の住人ではないはずだ。それなのに、コダックを持っていたとはどういうことなのか。だが、だったら何故オーキド研究所にいたのだろうか。

ミズカのように手鏡を持っていたのだろうか?
なぜ、どうして?
何が何だかわからない。

「うん。……サトシ、次のポケモンセンターについたら、オーキド博士に電話して聞いてみてよ。あたし、もう帰らないと……」
「わかった」

ミズカはモヤモヤを残しつつ、そろそろ帰らねばと帰って行った。今度こそ、夏休みが終わるまでポケモン世界には来ない気だ。

ちなみに、ハルカ達には、夢のことは伏せておくことにした。ミズカもサトシも説明が下手なせいもあるのだが、それよりかは二人共、夢の中の雰囲気が引っ掛かっていた。もしかしたら、自分たちには知ってはいけない何かがあるのではないか。それを考えると仲間たちにはあまり言う気にはなれなかった。

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