「ハルカは好きな人いるの？」
「私？」
「うん」
「うーん。考えたことないかも」

てっきりシュウかと思っていたが、ハルカはまだ恋愛自体を考えたことがないようだった。ミズカはそれ以上突っ込むこともしなかった。

「そっか。じゃあ好きな人できたら教えてよ」
「もちろん！」

ハルカとミズカは顔を見合わせて笑った。ハルカは、このあとコンテストの技の練習をするということで、ミズカから離れた。もう少しここに留まるようで、サトシもポケモンたちと特訓を始めている。それを眺めながら、ミズカは再び夢のことを考える。

さっきサトシに言いかけたことを思い出す。

「記憶を消された？」

もとの世界では出来ないがこの世界なら出来ないこともないこと……。彼女は、記憶を消されたのではないかと考えた。ポケモンがいるなら……。強力なエスパーを持つポケモンならあるいは出来るはずだ。

考えていくうちにだんだん睡魔が襲ってきたミズカは、そのうち眠ってしまった。