22章 キルリア、怖がり克服中の混乱!

ハルカとタケシと合流し、ミズカ達は昼食にすることにした。タケシのサンドイッチを頬張りながら、ミズカはじっとサトシを見つめる。

サーナイトの件は一件落着したが、まだ一つ解決していない。

――本当に、あたしは、サトシに会った事があるの?

記憶の奥底まで辿る。幼稚園に入る前はどうしていたか。3歳だとすれば、タカナオが生まれる前後ではないだろうか。だとしたら、確かに母がタカナオを出産で入院していたときに父と二人で家にいた記憶はある。

おそらくは、そのときに来たのだろうとも思う。しかし、どうしても思い出せない。

シゲルやオーキドの話を思い出せば思い出すほど、本当にあったはずなのに。

サンドイッチを食べ終え、タケシの片付けを手伝ったあと、ミズカは木の下の影で涼みながら、ぼーっとピカチュウと戯れるサトシを見つめていた。

「……ミズカ? 何サトシの事見つめてるの?」

ハルカがニヤけながら、隣に座ってきた。

「へ?」
「もしかして、ミズカ、サトシのこと……」

ハルカは、彼女がサトシのことをじっと見ていてサトシを意識していると勘違いしたらしい。

「好きになったの?」

ミズカはやっと意味がわかったらしく、顔をしかめた。

「なんでそうなるの?」
「だって、さっきからサトシのことばかり見てるから……」

気がつけば、サンドイッチを食べる手が止まっていた。ミズカは自分の行動が勘違いされやすいものだったと振り返る。

「いや、それはない」

ミズカは首を横に振った。とはいえ、理由は言っていいものかわからずに黙っておく。

「違うの?」
「うん。サトシに対してはそんな気持ちない」

その言葉にハルカは首を傾げる。

「サトシに対してはってことは、他に好きな人がいるってこと?」
「……えっ?」

口を滑らせていた。ミズカは咄嗟に否定できない。ハルカはニヤニヤとし始める。

「いるのかも!」
「え、や、いないいない!!」
「すごい動揺! 好きな人教えてほしいかも!!」

テンションの上がるハルカにミズカは首をブンブン横に振る。

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