22章 キルリア、怖がり克服中の混乱!

「ピカチュウ、十万ボルト!」
「ピーカヂューウ!!」

サトシが指示を出すと、ピカチュウは十万ボルトを放った。その先には、ミズカのキルリア、後ろにはミズカがいる今、ミズカとサトシは特訓中である。

「キルリア躱して!」

しかし、キルリアは躱すことなく、ただ震えて、ピカチュウの十万ボルトを喰らうだけだった。

「ダメか……」
「ピカ……」

サトシとピカチュウはため息をついた。ミズカはキルリアに駆け寄る。

「やっぱり、せっぱ詰まらないとダメなのかな……。でも、そういうやり方は嫌だし……」

キルリアの頭を撫でた。実はさっきから何度もやっている。

「だよね。僕もミズカの意見に賛成だよ」

ミズカの言葉にマサトは頷く。ミズカが初めてキルリアに会った時、キルリアはグラエナ三匹に追いかけられていた。ゲットした後は、ロケット団を相手に、怯えていたがなんとかミズカの言葉でバトルをすることが出来た。

非公式コンテストの時、2次審査のバトルをエーフィにしたのも、キルリアが恐がったからだ。特訓で、キルリアがバトル出来るようになればと思ったが、キルリアは恐がっている。

「まだ、早かったかな。キルリアは、もとは強いから、恐がることさえなければ平気な気がしたけど……」
「でも、怖がっているなら、そもそもキツイかも」

ハルカがキルリアを見つめる。ミズカは苦笑した。

「いいや。キルリア、これから少しずつ練習して行こう?」
「キル……」

自分が情けないのか、キルリアに元気はなかった。キルリアだって強くなりたい気持ちはある。バトルだってエーフィのようにできたらと思っていた。

こないだのバシャーモの森の時だって、エーフィはミズカにロケット団を頼まれ、サイコキネシスで星にしていた。同じエスパーの力を持つエーフィがキルリアには憧れだった。

「誰でも弱点はあるんだから!」

そんなキルリアの表情を見て、ミズカはもう一度頭を撫でた。キルリアは少し笑みを溢す。ミズカが無理強いするタイプでなくて、キルリアは少し安心した。

「そしたら、今日からキルリアをボールから出して歩くのはどうだ?」

タケシの提案に、ミズカはキルリアを見た。キルリアもそれなら、まだ大丈夫だと頷いた。それを見て、ミズカはキルリアを出して歩くことにする。

「キルリア……。そんなしがみつかなくても、野生のポケモン達は襲って来ないよ」

ミズカは苦笑しながら、キルリアを見た。歩いてみたはいいが、怖くて、一人で歩けない。

「キル……」
「キルリア、怖くないよ。ピカチュウだって、普通に歩いてるじゃないか」
「ピカピカ!」

マサトがキルリアに話かけると、ピカチュウもキルリアに近づき、手を軽く引っ張った。キルリアは少し戸惑いながらも、ミズカから離れ、ピカチュウと歩くことにした。

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