21章 バシャーモの森

「無理って言ってるでしょ! ジャリガール!」

シップウの言葉にキレてるのだろう。いつもより、きつい言い方になっている。

「無理かどうかなんてやってみなきゃわからないでしょ。チルタリス、鍵を取り返すわよ! バシャーモは、あんたらみたいな奴がいるから人を恐れるのよ」
「生意気な。ハブネーク、ポイズンテールよ!」
「ハブ!」
「躱して、鋼の翼!!」
「チル!」

ミズカの方が冷静な分、あっという間に決着はついた。ハブネークは吹っ飛ばされ、ムサシに当たる。すると、ムサシは手に持っていた鍵を手放す。鍵はミズカのもとへ飛んできた。ミズカはそれをキャッチすると、素早くポケモン達がいる檻を開ける。

そのときに助けたバシャーモと目があった。もう落ち着いているが、足が赤くなっていることに気がついた。あっ、と思ったが、先にロケット団を片付けてからだ。バシャーモも檻から出てくると、首を横に振る。手当は後で大丈夫みたいだ。

「さて、お次はスプレーね!」
「なんかヤバイのニャ……」
「まあ……、これだけのポケモンがいるからな……」

檻から出てきたポケモンたちに囲まれ、ニャースとコジロウは一歩後ろに下がった。すると、コジロウは何かに当たった。振り返るとそこにはミズカが助けたバシャーモがいる。

「バシャーモ!?」

ロケット団に冷や汗が浮かぶ。

「バシャ!」

バシャーモは素早くコジロウの持っているスプレーを取り上げた。そして、ミズカに渡した。

「バシャーモ、ありがとう! エーフィ、ロケット団をお願い!」
「フィ!」

エーフィが頷くと、ミズカはサトシ達のところへ駆け寄る。スプレーを掛けて、縄を解き始めた。

「にゃ、どうするにゃ……」
「ここは逃げ……」

コジロウは言いかけるが、周囲を見回し、言うのをやめた。とても、逃げられそうにない。ポケモンたちに睨みつけられている。そして、エーフィは容赦なくサイコキネシスでロケット団を吹っ飛ばした。

「やな感じ~」

キランと星になり消えていく。それと同時に、サトシ達に巻かれた縄が解けた。ミズカは遠い空を眺めて、解決したことを確認すると、くるりとタケシに向いた。

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