21章 バシャーモの森

「まだ、そんな事やってたんだ。ロケット団……」

とはいえ、こんなことをまだやっているロケット団には呆れる。ため息をつくいた。いい加減しつこいと思う。

「我らの狙いは永遠にピカチュウだからな!」
「はあ……」
「チャア……」

コジロウの言葉を聞き、今度はサトシとピカチュウがため息をついた。

「まぁいいや。それじゃあ、チルタリス? 鋼の翼であの檻を破って!」
「チル!」

しかし、チルタリスの攻撃で檻は壊れなかった。ニャースが声高らかに笑う。

「にゃーはっはー。今回はバシャーモがいると言うことで、全ポケモンの技対応になってるにゃ!」
「檻を開けたいなら、この鍵がないとね!」

ムサシがチラッと、鍵を見せた。

「あいつら……、馬鹿だな」

シップウが呆れた顔で敵を見つめる。普通は敵に鍵の存在を話すことはしない。ミズカも内心思ったが、打つ手が出てくるので、どんどん吐いてくれと思っていた。

「まぁ、ロケット団だからな」
「かもかも!」

タケシが言うと、隣でハルカは頷く。

「うるさいわねぇ~。さて、ジャリガール? どうする?」

楽しそうに、鍵を振り回しながらムサシは言った。ミズカはそれをスルーし、縄でグルグル巻きにされたサトシ達を助けようとする。

「え……、解けない!?」
「それは特殊な縄でできているからな! このスプレーがないと……」

いつもの癖なのか勢い余って言ってしまったのか。どちらかはわからないが、コジロウはハッとすると手に持ったスプレーを隠した。

「そう……。それじゃ、あんた達とバトルすれば良いわけね!」
「ミズカ、頑張れ!」

マサトに言われ、ミズカはグッと親指を立てた。もう何度もやっているロケット団とのバトル。ミズカは深呼吸をし、気合いをいれた。

「チルタリス!」
「チルチル!」

チルタリスを呼ぶと、元気の良い、そして、やる気に満ちた鳴き声が返って来た。

「ハブネーク、相手をしておやり!」
「ハブ」
「……ッぷ。相手をしておやりって……、おばちゃんが言う言葉じゃねぇよ」

ムサシの言葉に、捕まっているシップウは吹き出す。いつものセリフだから、何も違和感を感じなかったが、シップウに言われて確かにと思ってしまった。ミズカも、サトシ達も笑い出す。そのうちに、笑いを堪えていたコジロウとニャースまで笑い出した。

「な、何よ!」
「で? おばちゃん、何歳なんだよ?」
「う……」

ムサシにとって、一番聞かれたくないことをシップウは聞いた。完全、大人を馬鹿にしている。ムサシの額には見えないはずの怒りマークが沢山見える。

「エーフィ、キルリア! とりあえず、中から檻を壊せるかやってみて!」

そう言うと、エーフィとキルリアは頷いた。そこにピカチュウも加わって檻を攻撃し始めた。
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