20章 中学の試練

「この二人っていつもこうなの?」

ハルカが二人を指しながらタケシに聞いた。

「まあ……な。サトシとの方がすごいぞ、カスミは……」
「カスミが怒り過ぎなんだよな」

ボソッとサトシは言う。タケシとミズカは苦笑。ハルカとマサトは笑った。サトシの言葉が聞こえたのだろう。

「何か言った?」

と、カスミは今度はサトシを睨んだ。サトシは目を逸らす。そんなやりとりが楽しくて、ミズカは逆に辛くもなった。だからか、

「帰りたくないな……」

と、つい呟いてしまった。ハッとする。5人に聞こえてないことを祈ったが、しっかり聞こえていた。

「え?」

5人は声をそろえ彼女を見る。たしかにミズカが、この世界が好きなのは知っている。しかし、こんなことは初めてだ。ピカチュウでさえ、驚いているのだから相当だと言えた。

「また家族のことで何かあったの?」

カスミが心配して顔を覗く。

「違うよ。ただ言ってみただけ」

ミズカは笑う。それを本当のことだと受け止め、サトシ達はホッとする。彼女の言ったことは本当だ。家族は関係ない。しかし、ただ言ってみたと言うのは嘘だった。

それを簡単に見破ったのはカスミだった。少し顔をしかめる。ルリリが不思議そうにカスミの顔を見つめていた。変だが、答えてくれなさそうだ。とりあえず、様子を見ることにした。

しばらくして、一行は遅めの昼食をとることにした。

「いただきます!」

昼食はおにぎりだった。毎週の休日、部活の時はおにぎりだったこともあったのか、いや、無視をされてよく一人で食べて残すせいだろう。ミズカは少し躊躇った。しかし、そんな理由で食べなかったら、またカスミに突っ込まれる。なんとか一口目を頬張った。

「おいしい!」

しかし、さすがタケシの手製。出来立てということもあり、固くなりすぎていない柔らかいご飯が、ミズカの口の中へ入ってきた。そこからは物凄い勢いで食べる。それほど、彼女にはおいしく感じた。

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