20章 中学の試練

「あはは……ごめん」

ミズカは頭を掻き、苦笑する。

「ほら、ミズカ……、ずっとこの世界来てなかっただろ? それで、タイミングよくカスミのいる時に来たから、狙って来たんじゃないかって話てたんだ」

サトシが説明した。その隣でハルカは頷いている。この話題を持ち込んだのはハルカらしい。

「そんなわけないでしょ……。だったら、リーグ戦とかグランドフェスティバルだった狙って行ってたし……」

ミズカはため息をついた。たしかに、狙って来れるんだったら、彼女は喜んでリーグだのグランドフェスティバルだのに来るはずだ。

気持ちがわかったのか、カスミとタケシは苦笑した。

「あんたの場合、狙って行けるぐらいだったら、毎日来てるわよね」
「カスミがいる時にわざと行かなかったりもね!」

ミズカはカスミの言葉に頷くと、少しいじわるを言う。ポカンとカスミは口を開け、首を傾げた。

「なんでそうなるのよ?」
「だってカスミ、森の中を歩いてたら、虫、虫うるさいじゃん」

カスミに聞かれ、ミズカはニヤッとしながら答えた。サトシは思わず吹き出す。

「うるさいわねぇ。虫は無視なの!」
「あっ! 後ろにキャタピーが!」

ミズカが冗談でカスミの後ろを指した。

「嫌~!!」

本気にしたカスミは叫ぶと、ミズカにしがみついた。

「ウソウソ」
「あんたねぇ!」

ミズカはカスミを見て笑い始めた。ようするに馬鹿にしてるわけだ。馬鹿にされた彼女はミズカを睨みつけた。

「お子ちゃまなんだから」

その言葉にミズカも腹が立った。

「何それ! カスミだってそうじゃん!」

そして、終いに喧嘩となる。久々の軽口の叩き合い。もとの世界では全然ない。すごく楽しい。
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