20章 中学の試練

「チコチコ!」

チコリータは何か言いたげにオーキド研究所を見た。ミズカにはなんとなくチコリータがいいたい事がわかる。

「そっか、オーキド博士!」

そういうと、チコリータは頷く。ミズカはチコリータを抱いたまま、その場を立つとオーキド研究所の玄関まで足を運ぶ。

「やぁ!」

インターホンからいきなり声がした。ミズカはビクッとするが、すぐに誰だかわかった。

「ケンジ?」
「うん、今開けるから待っててよ」

ケンジはそういうと、すぐにドアを開けに来た。

「久しぶり!」
「ホント、久しぶり!」

お互いまずは軽く再会の挨拶をする。ミズカはチコリータを地べたに降ろした。そして、ケンジに客室へ案内される。客室に行くと、オーキドが待っていた。

「おぉ、久しぶりじゃのう」
「お久しぶりです。ところで、なんであたしがマサラタウンに?」

いきなり思っていた事を質問する。

「まぁ、そう焦るでない。座るといいじゃろう」

オーキドに促され、ミズカはオーキドの向かいにあるソファに座った。チコリータは彼女の膝の上にちょこんと乗る。

「お前さん、最近アニメも何も観てないんじゃな」
「はい……」

何故、この事をオーキドは知っているんだろうと疑問がわく。

「たしか、もとの世界では中学で部活に入ったんじゃったな」
「あ、はい……」
「で、今は違う父なんじゃな?」
「はい……?」

確かに、ミズカは小学校卒業の3ヶ月前に時間を見つけてサトシ達に会いに行った。そのときに、これから中学生になることや、テニスをやりたいという話をした記憶はある。

だから、サトシ達が話していてもおかしくはない。しかし、自分の家族のことをわざわざ言う仲間たちではない。ミズカもオーキドに言った記憶がない。しかも、もとの世界ではもう2、3年も前の話だ。

「はい……。あの、なんでそこまで詳しく知ってるんですか?」
「大人の事情じゃ」
「はぁ……」

オーキドにも色々あるのだろう。いや、きっとこれは聞いても教えてくれないパターンだ。そう思い、ミズカはそれ以上何も聞かなかった。

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