19章 非公式のポケモンコンテスト

「いや、もうぶり返しはないよ。今日一日安静にしてれば大丈夫じゃないかな」
「なんでわかるの?」

ハルカが聞いた。

「……結構、もとの世界じゃ風邪引いてるからさ。慣れてるの」
「ミズカって、風邪ひいたことないのかと思ってたかも!」

驚いた表情を浮かべる。それはハルカだけでなく、サトシもマサトもそうだった。

「そんなに驚くこと……?」

ミズカが聞くとハルカ達は苦笑した。サトシとミズカが似ているからか、自然と無意識に重ねていた部分があったようだ。風邪を引かないのはサトシの方だった。

一息をついたところで、ハルカが口を開いた。

「コンテスト。優勝……シュウだったわ」
「そっか」

ハルカの表情が悔しそうで返答に困る。ミズカはそれしか言えなかった。

「でも、シュウも悔しがってたかも」
「え?」
「だって、事実上はミズカが一番上でしょう? シュウ、そのせいかもう旅立って行ったわ」
「……そう。……って、もういないの!?」

ミズカは声を張り上げた。迷惑かけて謝りたかったし、コンテストの練習につきあってくれたから改めてお礼も言いたかった。

「安心して、次会った時、ミズカの代わりにお礼言っといてあげるかも」

ミズカの気持ちを察して、ハルカは言った。ミズカはニコッと笑って頷いた。

翌日、ミズカは言った通り、元気よくなっていた。帰る気はないが、ずっといるわけにもいかず、手鏡を出し、ドアを出した。

「それじゃ、もとの世界へ帰るね」
「いつでも、来てね。お姉ちゃんの面倒見るの僕一人じゃ、大変だから」
「マサトー!」

マサトが余計な事を言うと、ハルカはそう言って、睨み付ける。ミズカは吹き出した。

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